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病める少年バッコス (Bacchio malato) 1593年頃
67×53cm | 油彩・画布 | ボルゲーゼ美術館(ローマ) |
若きカラヴァッジョの自画像とされる、初期の代表的な人物画作例のひとつ『病める少年バッコス』。カラヴァッジョの現実主義的思想(自然主義的思想)がよく示される本作は、ギリシア・ローマ神話に登場する酒神バッコスを題材にし描かれた人物画であるが、それまで通例となっていた対象の美化は見られず、あくまでもモデル(カラヴァッジョ自身)の映る姿をそのままに捉え、極めて正確な写実に基づき描かれている。これはカラヴァッジョの全作品に共通する理想を求めない現実主義的な表現の最も初期の作例として、重要な位置を占める。また馬に蹴られ療養所に入ったときに描いたとされる説は、現在、否定的である。
関連:ウフィツィ美術館所蔵『バッコス』(1595年頃)
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