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アレクサンドリアの聖カタリナ 1595-1596年頃
(Santa Caterina d'Alessamdria) | 173×133cm
油彩・画布 | ティッセン=ボルネミッサ・コレクション |
カラヴァッジョの若くして開花させた自然主義的表現の発展が示される傑作『アレクサンドリアの聖カタリナ』。本作の主題は4世紀キリスト教の聖女で、大釘を打ち付けた車輪で拷問を受けた後、斬首され殉教したとされる≪聖カタリナ≫を描いたものであるが、本作に示されるのは、若きカラヴァッジョの最も特徴的であった世俗性からの逸脱であり、同時にあくまでも写実性を重んじながらも、神聖なる宗教画としての尊厳と聖性に富んだ表現である。これはそれまでのカラヴァッジョの作品には際立って示されていない新たなる特徴で、後にカラヴァッジョが描く宗教画の特徴となる、写実性と聖性の融合の最初の作品として、今日も画家の過渡期における代表作として重要視されている。
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