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キリストの埋葬 (Deposizione nel sepolcro) 1600年
300×203cm | 油彩・画布 | ヴェティカン宮美術館(ローマ) |
稀代の画家カラヴァッジョの最も有名な作品のひとつ『キリストの埋葬』。元々サンタ・マリア・イン・ヴァリチェッラ聖堂内礼拝堂のために描かれ、現在はヴェティカン宮美術館に所蔵される本作の主題は、磔刑に処され死したイエスの肉体を、ゴルゴダの丘の麓の小さな園に岩を掘らせて建てた墓へ埋葬する場面≪キリストの埋葬≫を描いたもので、カラヴァッジョのローマ滞在での作風の変化が示されている。それは徹底した写実性から、ある種の古典的様式への変貌であり、強い光によって闇に浮かび上がるイエスの亡骸や、亡骸を運ぶアリマタヤのヨセフやニコデモ、聖母マリアを始めとする聖女たちの浮き彫りを感じさせる表現は、これまでのカラヴァッジョには見られない新たなる一面、つまりは彫刻的な人物描写を意味している。とは言え、カラヴァッジョは写実の全てを捨てたわけではなく、ニコデモの足などが示すよう写実による場面と感情の追求も示されている。また本作は当時より既に名作としての地位を築いており、若きルーベンスによる『キリストの埋葬』の模写も残されている。
関連:ルーベンスによる『キリストの埋葬』の模写
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