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リュートを弾く若者 (Suonatore di liuto) 1590年頃
94×119cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館 |
激情の画家カラヴァッジョの初期様式の頂点を示す傑作『リュートを弾く若者』。前景には初期様式によく見られる譜面やヴァイオリン、水差し、生け花、果物などの静物が配され、また主題となる若者は虚ろ気にこちらを見つめ、その手はリュートを奏でており、その表現はいずれも圧倒的なリアリズムが示される。絵画の中心であった宗教画と、本作のような風俗画の二種を描くことを試みていたローマに到着して間もないカラヴァッジョの青年期(1590年代)の作風は、青年(又は少年)を思わせる若々しい男子に、病的にも思える虚実な表情を浮かべて描かれており、これは画家の内面を示すものとして捉えられている。
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