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クマエの巫女 (Sibilla cumana) 1611年
123×94cm | 油彩・画布 | カピトリーノ美術館(ローマ) |
17世紀ボローニャ派の画家ドメニキーノを代表する作品『クマエの巫女』。本作に描かれるのは、旧約聖書における伝説的な十二人のシュピラ(女預言者、巫女)のひとりで、欧州のクマエ地方に住むとされる≪クマエの巫女≫であるが、理想化された古典主義的な巫女の表現にルネサンス三大巨匠のひとりラファエロが手がけた女性像の影響を強く感じさせる。若き巫女(通常は18歳とされる)であるクマエを示す金色の長衣と書物は鮮明な光に包まれ輝きを帯びている。また頭部の異国的なターバンや衣服の丁寧な描写や明瞭で豊かな色彩はドメニキーノの大きな特徴であるほか、甘美性を携える儚げで不可思議な瞳の表情は観る者を魅了する。なおボルゲーゼ美術館やウォーレス・コレクション(ロンドン)にも同様の作品が所蔵されている。
関連:ボルゲーゼ美術館所蔵『クマエの巫女』
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