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バルビの子供達 (The Balbi Children) 1625-1627年
219×151cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
画家ヴァン・ダイクのジェノヴァ滞在期の重要な肖像画作品のひとつ『バルビの子供達』。18世紀のコレクターであるコンスタンティヌス・バルビが所有していたことから、伝統的に『バルビの子供達』と呼称されている本作に描かれる三人の愛らしい子供のモデルについての詳細は不明であるも、その様式や来歴からヴァン・ダイクが1621年から1627年にかけてイタリアに滞在したジェノヴァの有力貴族の子供達であると推測されている。本作に示される気品と満ちやや詩情的な肖像画の表現手法は、ヴァン・ダイクがジェノヴァ滞在で熱心におこなったルーベンスの肖像画の研究とその成果を示すものであり、後に肖像画家して大成するヴァン・ダイクの肖像画制作における独自の様式確立の重要な研究資料的価値も見出すことができる。なお画面右下に描かれる黒い鳥(カラス)から貴族フランチ家の紋章とし、ジェローラモ・デ・フランチの子息チェーザレ、ジョバンニ・ベネデット、アンジェロとする説が研究者から唱えられているも、現在までに証拠を示す書簡や目録は発見されていない。
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