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ボルゴマネロ侯爵カルロ・エマヌエーレ・デステの肖像
(Carlo Emanuele d'Este, Marchese di Borgomanero)
1634年 | 175×95cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館 |
17世紀フランドル・バロックを代表する画家ヴァン・ダイクの典型的な肖像画作品のひとつ『ボルゴマネロ侯爵カルロ・エマヌエーレ・デステの肖像』。長らくルプレヒト・フォン・プファルツ公子の肖像とされてきたが、近年の研究によって、おそらくはサヴォイ家の公子ボルゴマネロ侯爵カルロ・エマヌエーレ・デステの肖像と考えられるようになった本作は、弟の肖像画と合わせ対画として制作されたと推測されている。本作のいかにも貴族的な気品と優雅に満ちた立ち振る舞いや雰囲気は、後に英国内において最も規範的とされるようになるヴァン・ダイクの肖像画の大きな特徴のひとつであり、1632年に当時の英国王チャールズ1世の宮廷画家となった画家の肖像画の中でも秀逸の出来栄えを見せている。おそらくカルロ・エマヌエーレ・デステが12〜13歳頃に描かれた本作では、少年的なあどけなさの残る端正な面持ちなど対象の個性を活かしつつ、尊位と優美の絶妙なバランスによって貴族の肖像画として公式的な役割を担う極めて洗練性の高い肖像画に仕上げられている。このような表現は現在、一般的に語られるヴァン・ダイクの肖像画の最も典型的な表現として広く認識されているだけではなく、英国における肖像画の方向性を示した重要な表現手法としても、その役割は非常に大きい。
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