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福者ヘルマン・ヨゼフの夢 1618-19年頃
(The Vision of the Blessed Herman Joseph)
160×128cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館 |
偉大なる画家ヴァン・ダイクを代表する宗教画作品のひとつ『福者ヘルマン・ヨゼフの夢』。アントウェルペンのイエズス会のために制作され同会女子修道院を経てウィーン美術史美術館に所蔵されることになった本作に描かれるのは、ドイツのケルンに生まれた熱心なキリスト教徒で神秘体験者でもある≪福者ヘルマン・ヨゼフ≫が夢の中でおこなった(又は幻視した)聖母マリアとの神秘的な婚姻体験場面で、輝きを帯びる光彩表現や劇性を感じさせる場面構成、自然を超越した神秘的な印象の大気描写などヴァン・ダイクの類稀な表現力が如何なく発揮されている。本作に描かれる≪福者ヘルマン・ヨゼフ(1150-1241)≫はイエズス会に関連する聖者ではないものの、中世の特にドイツ近郊では非常に人気が高かった、聖母マリア信仰の深い聖人で、本作では2天使を連れた聖母マリアより霊的な婚姻者(配偶者)の証である指輪を授かっている。この神秘的体験は≪福者ヘルマン・ヨゼフ≫の伝説的な逸話の中でも最もポピュラーなもののひとつである。なお本作と共にアントウェルペンのイエズス会のためにパレルモの聖ロザリエや聖ペテロなど諸聖人を伴う聖母子図(ウィーン美術史美術館蔵)も制作されている。
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