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キリストの哀悼 (The Lamentation over the Dead Christ)
1634-36年頃 | 115×208cm | 油彩・板 |
アントウェルペン王立美術館 |
17世紀フランドル絵画の画家ヴァン・ダイク後期を代表する宗教画作品のひとつ『キリストの哀悼』。画家がチャールズ1世の宮廷画家として仕え確固たる地位を築いていた英国から一時的にアントウェルペンへ帰国した際に、サボア使節のチェレーザ・アレッサンドロ・スカリガからフランチェスコ会聖堂の礼拝堂を飾る作品として依頼され制作された本作に描かれる主題は、磔刑に処され死したイエスと、その死に深い哀悼を表す聖母マリアやイエス十二使徒のひとり聖ヨハネ、天使らを描いた≪死せるキリストへの哀悼≫で、ヴァン・ダイクは生涯中に本主題を数多く手がけていたことが知られている。画家の師であり、多大な影響を受けていたルーベンスも同主題を手がけているが、師の作品とは異なり、受難者イエスの苦痛の表現は緩和され、その表情には死に対してある種の甘美性が示されているのが大きな特徴のひとつである。また聖母マリアのやや誇張気味な身振りの大きい描写や、うなだれ顔を覆う天使の悲壮感漂う描写は、迫真性や主題表現においてヴァン・ダイクが生涯に手がけた宗教画の中でも秀逸の出来栄えを見せており、特筆すべき画家の代表作としても、本作は広く知られている。
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