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ソロモンの夢 (Dream of Solomon) 1694年頃
245×361cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
後期バロックを代表する巨匠ルカ・ジョルダーノがスペイン滞在時に制作した傑作のひとつ『ソロモンの夢』。1692年からカルロス二世に招かれ約10年間滞在したスペインの地で画家が、エル・エスコリアル宮内陣の装飾画として、旧約聖書に記されるダヴィデとソロモンについての物語を描いた勇壮な連作の内の一枚であると推測されている本作に描かれるのは、師士ダヴィデとバト・シェバ(バテシバ)の間に生まれた子でイスラエル第三代の王ソロモンの夢の中に父なる神が「望むものを与える」と現れ、王ソロモンが「善悪を判断できるよう、民を正しく裁き、聞き分ける心」を望むと、父なる神より英知を授かったという逸話≪ソロモンの夢≫で、後期バロック様式らしく、極めて装飾的で記念碑的な表現が大きな特徴である。対角線上に父なる神と王ソロモンを配し、明瞭で輝きを帯びる光の表現と豊かで洗練された色彩によって表される本場面の演劇的な場面展開や、王ソロモンに示される官能的で優美な甘美性は、画家後期の洗練された様式を代表する表現である。また父なる神より授かった知恵の象徴として、ローマ神話最高の女神で、知恵と諸学芸を司るミネルヴァを描いていることは特筆に値する。
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