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ドルドレヒトの眺望 (Blick auf Dordrecht) 1644年頃
103.5×133cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館 |
17世紀オランダで花開いた写実的風景画の先駆者ヤン・ファン・ホイエンの代表作『ドルドレヒトの眺望』。本作はオランダ南西部の州南ホラントの中のヘメーンテ(基礎自治体)のひとつ≪都市ドルドレヒト≫を、アウデ・マース川の南方面から眺めた風景を描いた作品で、ヤン・ファン・ホイエンは本作以外にもドルドレヒト眺望の風景画を数点制作しているが、本作の完成度は特に秀逸の出来栄えを示している。本作は画家がしばしば描いた代表的なモティーフのひとつである水辺の風景の中の一点でもあり、それらの作品に共通する低い水平線、水面を行き交う数隻の帆船、遠景に教会などの建築物、空高く漂う大雲を配した典型的な作例のひとつとして広く知られている。また表現手法においても、全体として同系色で纏められながらも、その色調の多様性は特筆に値するものであり、雲間から射し込む陽光が水面に反射し、明暗の変化を齎す独自の表現や、広大な上空の表現は、まさにヤン・ファン・ホイエン様式の真骨頂である。
関連:ブリュッセル王立美術館所蔵 『ドルドレヒトの眺望』
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