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Introduction of an artist(アーティスト紹介)

ヤン・ファン・ホイエン Jan van Goyen
1596-1656 | オランダ | オランダ絵画黄金期・写実的風景画

17世紀オランダ絵画黄金期に活躍した写実的風景画の先駆者。陽光が齎す自然光の様々な表情や雲の移ろいに注目し、控えめな色数によるモノクローム的な風景描写によって独自の風景画様式を確立。冬景色や中小都市の景観、水辺、海辺、農家、街道、樫の木など画家の主要モティーフを数多く描き、高い評価を得た。また細密で大気感に富んだ写実的描写を得意とし、17世紀オランダにおける写実的風景画の第一人者とも見なされる。1596年レイデンに生まれ、10歳で同地の画家に弟子入り。以後様々な画家に学ぶが、中でもハールレムの画家エサイアス・ファン・デ・フェルデに強く影響を受ける。22歳の時に地元レイデンに帰郷し、当初は同地で画業を営むが、1632年ハーグへと移住、2年後の1634年に市民権を得ると、1638年から1640年までハーグの聖ルカ画家組合の役員を務める。またこの頃(1634年頃)、ハールレムでオランダ絵画黄金期最大の風景画の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダールの父イサク・ファン・ライスダールの家に滞在している。1649年、画家の次女マルガレーテが、弟子であり当時活躍していた風俗画の大画家ヤン・ステーンと結婚。画家は精力的に作品を制作し、現存する作品数は1000点以上を数える。画業の初期には色彩豊かな表現が特徴であったが、次第に茶系色や灰褐色を多用したモノクローム的表現様式へ、さらに黄・緑系色を用いた作品へと変化。晩年期には初期の様式に通ずる風俗的要素を含んだ豊潤な色彩による画面を描くようになった。1659年ハーグで死去。享年60歳。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
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川べりの農村(レイデンのモティーフのある風景) 1636年
(Village at the River (Landschaft mit Motiv aus Leiden))
39.5×60cm | 油彩・板 | アルテ・ピナコテーク

17世紀オランダ絵画黄金期における写実性を含む風景画の先駆的画家ヤン・ファン・ホイエンを代表する作品『川べりの農村(レイデンのモティーフのある風景)』。依頼者など制作の意図や目的は不明であるが、ヴェルツブルク大司教美術館が旧蔵し、アルテ・ピナコテークへと移管された本作に描かれるのは、画家が1630年代以降にしばしばモティーフとして取り上げた水辺(本作では川べり)と、その近くの農民・農家で、抑的な色彩・色調による透明感が漂う大気的情景の表現と、その中で営まれる農民たちの労働の姿の描写は秀逸の出来栄えである。このようにファン・ホイエン独特の風景画様式の特徴をよく示す本作の中で、最も特筆すべき点は、現実的でありながら穏やかで情感豊かな雰囲気による調和的な画面の構成と表現の質にある。画家の独自性を感じさせる、銀灰的な色を用いて画面全体を包み、その彩度を抑えることによって得られた、この調和的な効果は、本作の独特の雰囲気を作り出す最大の要因のひとつである。また川の水面とそこに反射する農村の風景、農民たちが生活する土地(大地)、上空に漂う巨大な白雲、これらの風景的要素を絶妙に統合させ、画面の中で展開させる表現の質の高さは、この頃手がけられた画家の作品の中でも白眉である。

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ドルドレヒトの眺望 (Blick auf Dordrecht) 1644年頃
103.5×133cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館

17世紀オランダで花開いた写実的風景画の先駆者ヤン・ファン・ホイエンの代表作『ドルドレヒトの眺望』。本作はオランダ南西部の州南ホラントの中のヘメーンテ(基礎自治体)のひとつ≪都市ドルドレヒト≫を、アウデ・マース川の南方面から眺めた風景を描いた作品で、ヤン・ファン・ホイエンは本作以外にもドルドレヒト眺望の風景画を数点制作しているが、本作の完成度は特に秀逸の出来栄えを示している。本作は画家がしばしば描いた代表的なモティーフのひとつである水辺の風景の中の一点でもあり、それらの作品に共通する低い水平線、水面を行き交う数隻の帆船、遠景に教会などの建築物、空高く漂う大雲を配した典型的な作例のひとつとして広く知られている。また表現手法においても、全体として同系色で纏められながらも、その色調の多様性は特筆に値するものであり、雲間から射し込む陽光が水面に反射し、明暗の変化を齎す独自の表現や、広大な上空の表現は、まさにヤン・ファン・ホイエン様式の真骨頂である。

関連:ブリュッセル王立美術館所蔵 『ドルドレヒトの眺望』

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ナイメーヘンの眺め (View of Nijmegen) 1649年頃
67.7×97.8cm | 油彩・板 | ベルリン国立美術館

17世紀オランダ風景画の巨匠ヤン・ファン・ホイエンの都市景観を描いた代表作例のひとつ『ナイメーヘンの眺め』。本作はオランダの小都市ナイメーヘンの景観を描いた作品で、画家は大都市であったアムステルダムやハーグではなく、本作のようなナイメーヘンやドルドレヒト、アルンヘム、へーネン、ニムウェーヘンなど中小都市の景観を好んで描いている。本作で奥景に描かれるローマ帝国時代に建設られ現在も残るワール川沿いの城壁の緻密ながら抒情性を感じさせる描写や、川を行き交う船々の詩情的な雰囲気を携える表現、画面の約2/3を占める陽光に輝く大雲の浮かぶ空の大気的な表現は、観る者に物語画を見るような独特な印象すら与える。また風景画家としてのヤン・ファン・ホイエンの評価を決定付けた、控えめな色数によるモノクローム的風景描写によって描かれる本作の中でも、ワール川に示される画面手前から奥に向かう色調の繊細で多様な変化や、水面に反射する光の輝きの表現は秀逸の出来栄えである。

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