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ベントハイム城のある風景 (Scene with Bentheim Castle)
1653年 | 不明 | 油彩・画布 | アイルランド国立美術館 |
17世紀オランダ絵画黄金期最大の風景画家ヤゴブ・ファン・ライスダール1650年代初期の代表作『ベントハイム城のある風景』。本作は画家がイタリア人画家と共におこなったドイツ・オランダ旅行で訪れたオランダ国境近辺ウエストファリア地方のベントハイムの城の風景を描いたもので、この頃からライスダールが精力的に取り組み始めた、画家の重要なモティーフのひとつである森や水辺に示される緊張感を含んだ表現が白眉の出来栄えである。画面の前面にはベントハイム城へ続く林道が非常に緻密な写実的描写で描かれている。この前景の圧倒的な描写によってまず観る者を本作の世界へ惹き込み、遠景にそびえるベントハイム城や中腹部に描かれる村へと眼を向けさせているのである。また本作で用いられる画家独特の輝きを帯びた大気的な光の描写や深みのある陰影の表現は、後の画家の様式の大きな特徴となる心地よい緊張感と理想に溢れた劇的な表現を予感させる。なお山梨県立美術館に同主題を描いたヴァリアントが所蔵されている。
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