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睡蓮の咲く湖の傍らの樽の木
(Oaks by a with Waterlilies) 1665-1669年頃
111.6×142.2cm | 油彩・画布 | ベルリン国立美術館 |
オランダ風景画の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダール作『睡蓮の咲く湖の傍らの樽の木』。制作の詳細は不明であるが、現在ベルリン国立美術館が所蔵する本作に描かれるのは、題名どおり睡蓮の咲く湖の傍らの樽の木の風景で、左端に羊飼いの描写がされるものの、画家の代表的なモティーフである森の水辺の風景に特有の緊張感と物語的な幻想性を含んだ表現が秀逸である。画家の研究者によれば、画面内で青々と茂る樽の木と、その手前で朽ち枯れた一本の白木の対照性は、生と死、時と自然、運動と静止を連想させる詩情的な意味を含んでいると解釈している。このようなロマン主義的な思想的理念を画面の中に表現する手法は、画家随一の傑作『ユダヤ人墓地』に代表されるよう、ライスダール中期以降の作品にしばしば示されている。
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