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太陽の出現 (A Burst of Sunshine) 1660年頃
83×99cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) |
西洋絵画史上、屈指の風景画家として知られる17世紀の巨匠ヤゴブ・ファン・ライスダールの代表作『太陽の出現』。作品制作の詳細は不明であるが、1784年に当時フランスを統治していたルイ16世のコレクションとして購入された本作は、ライスダールが独自の様式を完成させ始めた1660年代初頭に描かれたと推測されている。本作に描かれるのは、他の画家もしばしば描いてきた、ありきたりな山岳の風景であるが、太陽の出現により光が差し込み美しく輝きを放つ雲域や大地、遠景の小高い丘に建てられる街や風車、旅人や水遊びに興じる者らの詩情感に溢れた表現は特筆に値する。また非常に高度な写実的描写を用いながらも、観る者にある種の哲学的思想を感じさせる本風景の雄大な印象までも描く先進的な手法は、同時代やそれ以降の画家らの風景画制作(風景描写)において多大な影響を与えており、ロマン派の巨匠ドラクロワも(特に冬景色の作品に)強い感銘を受けたことが知られている。
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