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ナイメーヘンの眺め (View of Nijmegen) 1649年頃
67.7×97.8cm | 油彩・板 | ベルリン国立美術館 |
17世紀オランダ風景画の巨匠ヤン・ファン・ホイエンの都市景観を描いた代表作例のひとつ『ナイメーヘンの眺め』。本作はオランダの小都市ナイメーヘンの景観を描いた作品で、画家は大都市であったアムステルダムやハーグではなく、本作のようなナイメーヘンやドルドレヒト、アルンヘム、へーネン、ニムウェーヘンなど中小都市の景観を好んで描いている。本作で奥景に描かれるローマ帝国時代に建設られ現在も残るワール川沿いの城壁の緻密ながら抒情性を感じさせる描写や、川を行き交う船々の詩情的な雰囲気を携える表現、画面の約2/3を占める陽光に輝く大雲の浮かぶ空の大気的な表現は、観る者に物語画を見るような独特な印象すら与える。また風景画家としてのヤン・ファン・ホイエンの評価を決定付けた、控えめな色数によるモノクローム的風景描写によって描かれる本作の中でも、ワール川に示される画面手前から奥に向かう色調の繊細で多様な変化や、水面に反射する光の輝きの表現は秀逸の出来栄えである。
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