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大人が歌えば子供が笛吹く(陽気な家族)
(Soo d'oude songen, soo pypen de jonge) 1660-1670年頃
134×163cm | 油彩・画布 | マウリッツハイス美術館(ハーグ) |
17世紀オランダ絵画黄金期を代表する風俗画家ヤン・ステーンの代表作のひとつ『大人が歌えば子供が笛吹く』。別名『陽気な家族』とも呼ばれる本作は、古くからネーデルランド地方に伝わる諺で、同地方の幾人もの画家たちが手がけてきた≪大人が歌えば子供が笛吹く≫を主題に描かれた作品である。この諺は≪善行であれ悪行であれ、子供は親を真似るものだ≫を意味し、画家は中央で老婆が手にする用紙の文面(そう歌えば、そう真似てピーピーとする)や、それに呼応するかのような登場人物の笛を吹く動作、鳴く動作、パイプを吹かす動作、物真似で知られるオウムなどをもって表現している。しかし、本作では諺の意味よりも、ヤン・ステーンの描く家庭像の典型である陽気で高揚した登場人物や場面の雰囲気、さらに晩年期の大きな特徴である記念碑的な構成が強く示されている。また構図的にも最も観る者の関心を惹かせる注がれるワインを中心に人物や動物が放射線状に配されており、それぞれがおこなう人物の行動を結び付けているのである。なおアムステルダム王立美術館にもヤン・ステーンが手がけた同主題の作品が所蔵されている。
関連:アムステルダム王立美術館版 『陽気な家族』
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