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聖ニコラウスの休日 (Het Sint-Nicolaasfeest)1663-65年頃
82×70.5cm | 油彩・画布 | アムステルダム国立美術館 |
17世紀オランダ絵画黄金期を代表する風俗画家ヤン・ステーンの最も著名な作品のひとつ『聖ニコラウスの休日』。本作に描かれるのは、子供の守護聖人でありサンタクロースの原型とされるバーリの(又はミラの)聖ニコラウスが、子供達へ贈り物を届けた翌日の朝の場面、所謂クリスマスの場面で、ストーリー性とその演出を巧みに合わせ人々の日常における喜怒哀楽を表現する画家の傑出した才能が如何なく発揮されている。本作に描かれる子供らは人形など聖ニコラウスの贈り物を手に喜びの表情を浮かべているが、左端の男児だけは望まない贈り物(白樺の枝)を贈られたことに泣き出している。このようなユーモアすら感じさせる教訓的な要素を含ませた場面表現は巨匠ピーテル・ブリューゲルらに通ずる伝統的な表現であり、ヤン・ステーンはそれにおける同時代の第一人者であった。また本作に示される賑やかで騒々しい雰囲気や生気に満ちた人物表現、明瞭で大気的な光と空間の表現、丁寧な細密による場面構成要素の描写なども画家の最も特徴的な表現手法として知られている。
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