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ハールレムの聖エリサベト養護院の理事たち 1641年頃
(The Regents of the St.Elizabeth Hospital of Haarlem)
153×252cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館 |
フランス・ハルスが理事たちの集団肖像画を描いた最初の作品『ハールレムの聖エリサベト養護院の理事たち』。本作は画家の活動拠点であったハールレムの養護院≪聖エリサベト養護院≫の理事たちから依頼され制作された集団肖像画で、左からシフェルト・ヴァルモント、サロモン・カウサールト、ヨハン・ファン・クラーレンベーク、理事長ディルク・ディルクスゾーン・デル、フランソワ・ヴォウテウスが描かれている(F・ヴォウテウスはフランス・ハルスが1639年頃に手がけた『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たち』にも登場している)。養護院とは、当時自宅でおこなうのが一般的であった病気療養を専用の施設でおこなう目的で、富裕層らが出資し建設された貧民のための福祉施設で、この頃のオランダ繁栄ぶりを象徴するもののひとつであった。この私設の出資者は単なる貧民への慈善目的以外にも、その見返りとして死後の天国への安住の約束というキリスト教義上の目的も含まれている。本作に示される調和のとれた均整的な登場人物の配置や構図と、この頃の画家の特徴であるモノクローム的色彩表現による深い精神性への洞察は、後に描かれる傑作『養老院の女理事たち』に通じる重要な基点としても解釈でき、作品全体を通し見所や研究の余地は多い。
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