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キリストの哀悼 (The Lamentation) 1650年頃
207.5×191cm | 油彩・画布 | ハンブルク美術館 |
17世紀フランドルの画家ヤーコブ・ヨルダーンスの手がけた宗教画のひとつ『キリストの哀悼』。本作の主題は、磔刑に処され死した主イエスの亡骸を前に絶望する聖母マリアを始めとした諸聖人を描いた≪キリストの哀悼≫で、それまでのヨルダーンスの様式にはあまり見られない、主イエスの亡骸に寄り添い涙を流すマグダラのマリアに示される悲壮の中にもイタリア的な甘美性を感じさせる描写や、聖母マリアなどに見られるやや誇張気味な動作表現、作品全体に示される詩情的な雰囲気に、同朋の画家アンソニー・ヴァン・ダイクが手がけた同主題の作品からの影響が指摘されている。なおヤーコブ・ヨルダーンスは本主題を生涯に数点制作しており、現在ではプラド美術館所蔵版やエルミタージュ美術館所蔵版など合計4作品が確認されている。
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