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善き牧者としての幼児キリスト
(Buen pastor Niño)1655-60年頃
123×101cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
バルトロメ・エステバン・ムリーリョの柔らかく繊細で豊かな叙情的描写が見事な、画家屈指の代表作『善き牧者としての幼児キリスト』。制作の詳細は不明であるが、1746年、国王フェリペ5世の王妃イザベル・デ・ファルネシオがセビーリャ滞在の際に買い上げ、その後1794年、アランフェス宮の国王夫妻の寝室に飾られていたことが来歴に残る本作は、悔悛し正道に戻る罪人を受け入れる神の姿を、迷える1匹の子羊を見つけることができ喜ぶ羊飼いの姿として表した教義≪善き羊飼い≫を主題とし描かれており、理想的な田園風景の中にある、愛らしくも神の子としての威厳を兼ね備える幼子イエスの神々しい描写が、ムリーリョの極めて独特で高い表現力を示している。
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