Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us
home Information Collection Data Communication
Collectionコレクション
homeページCollection常設展示バロック美術
Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ Bartolome Esteban Murillo
1617-1682 | スペイン | バロック セビーリャ派

17世紀中期〜後期にかけて活躍したセビーリャ派の巨匠。19世紀末期にベラスケスが再評価されるまで国内外でスペイン最大の画家として名を馳せていた。テネブリズム(カラヴァッジョに代表される明暗対比による劇的な表現手法)の強い影響を感じさせるセビーリャ派特有の実直な明暗対比の大きい作風に柔らかく繊細で輝きを放つ表現を用いることで、故郷セビーリャを中心に圧倒的な人気を得て、当時セビーリャ派の大家として既に名声を博していたスルバランの地位をも脅かした。その功績はイタリア芸術に押されていたスペインの美術の地位を再度諸外国に知らしめることとなった。また作品の多くは宗教画だが風俗画や肖像画も描き、ムリーリョ帰属だと確認されている作品の総数は約300点。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
拡大表示
蚤をとる少年 (Niño espulgándone)1645-1650年頃
137×115cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

スペイン最高の画家のひとりバルトロメ・エステバン・ムリーリョ初期を代表する風俗画の傑作『蚤をとる少年』。当時セビーリャに滞在していたフランドルの商人によって依頼され手がけられたと推測される本作は、蚤をとっている姿から現在『蚤をとる少年』と呼ばれることが多いが、描かれた当初は貧しい身なりや粗末な食物などから『乞食の少年』と題名されていた。セビーリャ派の伝統であったカラヴァッジョに代表される明暗対比による劇的な表現手法≪テネブリズム≫を用い、鋭い観察眼と卓越した技術によって描き出される少年の写実的表現は、スペインバロックの確立者フセペ・デ・リベーラの『エビ足の少年』や、ベラスケスによる傑作『バッコスの勝利(酔っ払いたち)』に代表されるよう、当時のスペインで盛んに描かれたモチーフのひとつであるピカレスク(騎士道小説の理想主義への反動で辛辣に社会を風刺する悪漢小説)的様式を示しており、おそらくは当時、ムリーリョが関心を持っていたフランシスコ修道会の慈善的教義を表していると研究されている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
小鳥のいる聖家族 (Sagrada Familia del pajarito)1650年前
144×188cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

17世紀を代表するセビーリャ派の巨匠ムリーリョによって描かれる聖家族作品のひとつ『小鳥のいる聖家族』。本作の主題は、本作の題名となった小鳥を子犬に見せる幼子イエスとイエスを抱く義父聖ヨセフ、傍らで幼子イエスの愛らしい仕草を見つめる聖母マリアを配した≪聖家族≫であるが、ムリーリョの柔らかく繊細な描写を用いた自然主義的な表現が示されている。幼子イエスは無邪気に小鳥を右手に捕まえ、従順の象徴として知られる子犬に見せる仕草を取っている。その後方にはやや若々しさの残る義父聖ヨセフが幼子イエスを守るかのように腕の中へ抱き、画面左部分では繭から糸を紡ぐ聖母マリアが慈愛に満ちた笑みを浮かべ見守っている。この至極幸せであたたかみを感じる聖なる家族を光と色彩に包まれた描写と、統一と聖性を感じさせる慎ましく安定的な空間構成によって、非常に豊かなムリーリョ独自の世界観が表現されているのである。また画家の愛好家として知られるフェリペ5世の王妃イザベル・デ・ファルネシオが購入し、独立戦争時は一時的にパリのオルレアン宮へ持ち出されるも、その後スペインへ返還され、画家を代表する作品としてプラド美術館に所蔵されることとなった。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
リベカとエリエゼル (Rebeca y Eliezer)1650-1655年頃
108×152cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

ムリーリョ作品には多くない旧約聖書を主題に描かれた代表的な作品のひとつ『リベカとエリエゼル』。ムリーリョの傑作『善き牧者としての幼児キリスト』等の作品と共に国王フェリペ5世の王妃イザベル・デ・ファルネシオがセビーリャ滞在の際に買い上げられた作品である本作は、イスラエルの民の祖アブラハムが年頃になった息子イサクの妻となる女性を探す為に故郷メソポタミアへ忠実な下僕エリエゼルを差し向け、苦しい道中の末、到着したナホルの井戸端で疲れを癒す水を与えてくれる女性に出会わせてほしいと下僕エリエゼルが神に祈ると、水を汲みに井戸を訪れていた多くの女性の中から美しい娘であったリベカが水瓶から下僕エリエゼルとラクダに水を与えた場面≪井戸端のリベカ≫を描いたもので、リベカを始めとした水汲みの女性群や後景のラクダのある風景などに、セビーリャ派伝統の実直な厳しい明暗対比から、画家独自の柔らかく繊細で明るい色調によるムリーリョ独自の様式への転換が示されている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
羊飼いの礼拝 (Adoración de los pastores)1650-55年頃
187×227cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

セビーリャ派の画家ムリーリョが17世紀中期に描いた代表的な宗教画のひとつ『羊飼いの礼拝』。本作の主題は神の子イエスが降誕した夜、ベツレヘム郊外の貧しい羊飼いのところへ大天使が降り救世主が生まれたことを告げられた後、急いでベツレヘムに向かい厩の飼葉桶に眠る降誕して間もない聖子イエスを礼拝する、14世紀中期頃から盛んに描かれるようになった図像のひとつ≪羊飼いの礼拝≫を描いたもので、深い陰影を刻む光彩表現と細密な描写による場面構成などセビーリャ派の典型的な特徴が示されている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
ロザリオの聖母 (Virgen del Rosario)1650-1655年頃
166×125cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

セビーリャ派を代表する画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョの特徴がよく示される代表的な聖母子画作品のひとつ『ロザリオの聖母』。本作の主題は、ドメニコ修道会の創始者聖ドミニクスが祈祷中に聖母マリアが現れロザリオを与えたとの伝承より、ドメニコ修道会の象徴する代表的な聖母子像とされ、ムリーリョが最も好み描いた主題でもある≪ロザリオの聖母≫を描いたもので、暗中に射される光と影の厳しい明暗対比によって表現された実直な表情を浮かべる聖母マリアと、その聖母の腕に抱かれる幼いイエスの神々しさすら感じられる高貴な表現は、ムリーリョの柔らかく繊細な描写による人物の内面を深く描く独自の様式を存分に示している。この主題となる聖母子とロザリオの他は殆ど構成要素を持たないのが本作の大きな特徴であるが、このような構成であるからこそ、ムリーリョの内面を深く描く人物表現が如何なく発揮され、同時にそれは人々に誠実に伝わる効果も生み出しているのである。それであるからこそ、故郷セビーリャを中心に圧倒的な人気を得て、19世紀末期にベラスケスが再評価されるまで国内外でスペイン最大の画家として名を馳せるほどの名声を得るに至ったのである。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
善き牧者としての幼児キリスト
(Buen pastor Niño)1655-60年頃
123×101cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

バルトロメ・エステバン・ムリーリョの柔らかく繊細で豊かな叙情的描写が見事な、画家屈指の代表作『善き牧者としての幼児キリスト』。制作の詳細は不明であるが、1746年、国王フェリペ5世の王妃イザベル・デ・ファルネシオがセビーリャ滞在の際に買い上げ、その後1794年、アランフェス宮の国王夫妻の寝室に飾られていたことが来歴に残る本作は、悔悛し正道に戻る罪人を受け入れる神の姿を、迷える1匹の子羊を見つけることができ喜ぶ羊飼いの姿として表した教義≪善き羊飼い≫を主題とし描かれており、理想的な田園風景の中にある、愛らしくも神の子としての威厳を兼ね備える幼子イエスの神々しい描写が、ムリーリョの極めて独特で高い表現力を示している。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
窓辺の女たち (Mujeres a la ventana) 1655-1660年頃
124×104cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

バルトロメ・エステバン・ムリーリョの世俗に対する類稀な観察眼と人物の愛らしい表現が見事に示される画家随一の傑作『窓辺の女たち』。本作に描かれる二人の人物については、近年まで窓辺からこちらを怪しげに見つめ誘う娼婦の少女と世話人を描いたと解釈されてきたが、今日ではセビーリャに住む一般(又は上流階級)の若い婦人と付添い人が描かれているとする解釈に傾倒しつつある。本作において最も魅力的な部分である少女は宗教画に代表されるムリーリョの柔らかく敬虔な聖母像の描写とは一線を画しており、いかにも人間的な含み笑いの表情を浮かべ、当時の社会や世間へ対する画家の考察が窺い知れる。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
無原罪の御宿り -エル・エスコリアル-
(Immaculate Conception)1660-65年頃
206×144cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

スペインの美の殿堂プラド美術館に所蔵されるセビーリャ派の画家ムリーリョの代表作『無原罪の御宿り』。エル・エスコリアールの「ラ・タシータ(親王の館)」が旧蔵していたことから『エル・エスコリアール』と呼ばれた本作の主題は、神の子イエスの母である聖母マリアが、マリアの母(イエスの祖母)アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたとする、最初は東方で唱えられ神学者の間で盛んに議論された後、1854年に公認された教理≪無原罪の御宿り≫で、17世紀スペインにおいて最も一般的に描かれた主題のひとつであった。聖三位の一位であるイエス、その聖器のマリア、マリアを生んだアンナそれぞれの関係性の議論により当時は公認されていなかったこの複雑な図解的規定を、学の無い者でもわかりやすいようムリーリョは簡略化し表現しており、それによってムリーリョはセビーリャの地を中心に圧倒的な人気を得ることになった。それを示すよう、画家は生涯において十数点、同主題の作品を描いている。

関連:無原罪の御宿り -ベネラブレス-

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
無原罪の御宿り -ベネラブレス-
(Immaculate Conception)1678年
274×190cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

セビーリャ派の巨匠ムリーリョの代表作『無原罪の御宿り』。本作はセビーリャ地方ベネラブレス・サセルドーテス病院のために制作された作品のひとつで、1813年には進軍してきたナポレオン軍元帥スルトによって強奪されているも1941年に現在所蔵されるプラド美術館へ帰還、ムリーリョの『無原罪の御宿り』の中でも、最も完成度の高い作品として広く認知されている。本作の主題≪無原罪の御宿り≫とは神の子イエスが宿る聖器に選ばれた聖母マリアも、原罪(性交)なしに生まれた汚れの無い存在でなければならないとする聖母の神性の主張によって制定された教義であり、聖母信仰が盛んであったスペインにおいて、最も一般的な主題のひとつであった。数多く描かれてきた『無原罪の御宿り』の中で、本作で特に優れている点はムリーリョ独自の繊細で色彩豊かな聖母マリア降誕の描写であり、それはすなわち、セビーリャ派の深い陰影法にはなかった柔らかい光と影による表現が頂点に達することを意味している。

関連:無原罪の御宿り -エル・エスコリアル-

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
無原罪の御宿り -アランフェス-
(Immaculate Conception)1670-80年頃
222×118cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

セビーリャ派の巨匠バルトロメ・エステバン・ムリーリョ晩年期を代表する傑作『無原罪の御宿り』。本作に描かれるのは聖母マリア信仰の厚かったスペインで当時圧倒的な人気を博した主題である、神の子イエスを宿す聖器である聖母マリアの誕生も原罪無きものであるとする解釈≪無原罪の御宿り≫で、ムリーリョ独特の柔らかい光彩と筆跡によって表現される人物の輝くような描写が見事に示されている。アランフェスのサン・アントニオ聖堂が旧蔵していたことから「アランフェス」の愛称でも知られる本作の主題≪無原罪の御宿り≫は、最初は東方で唱えられ神学者の間で盛んに議論された後、1854年にようやく公認された複雑な教理で、カトリックと対立していたプロテスタントは本主題での聖母マリアの聖性を否定していたが、当時、最もカトリック信仰の厚かった地域であるスペインでは、運動性と甘美に満ちた表現によって示される聖母マリアの純潔性を描いた作品が非常に人気が高く、そのような表現を得意としていたムリーリョは当時のみならずその後もスペインを代表する画家として史上に長く君臨し続けた。なお画家の作品目録の編集をおこなったアングーロ・イニゲスによって本作の両横部分が切断されたことが指摘してされている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
貝殻を持つ幼児たち (Niño de la concha)1670-1675年頃
104×124cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

風俗画的な表現を用いた愛らしい幼児の姿を描いたセビーリャ派の巨匠ムリーリョの代表的な作品のひとつ『貝殻を持つ幼児たち』。ムリーリョの代表作とされる『リベカとエリエゼル』や『善き牧者としての幼児キリスト』と同様、国王フェリペ5世の王妃イザベル・デ・ファルネシオのコレクションとして記載されていたことが知られている本作は神の子イエスと、旧約聖書における最後の預言者にして神の子イエスへ洗礼を施した聖人洗礼者聖ヨハネの姿がムリーリョの最も大きな特徴である風俗画的な表現を用いた愛らしい幼き姿にて描かれている。しかしながら神の子イエスは幼い姿をしながらも幼児洗礼者聖ヨハネに貝殻の器で水を与える姿は神々しく威厳と尊意に満ちており、また幼児聖ヨハネの持つ杖には「神の子羊を見よ」と記され、傍らに子羊を配すなど宗教画としての高い聖性をも表現している。なお幼児の姿の聖人像作品は当時のパトロンたちに人気があり、教会に納められる作品として描かれたのではなく個人の依頼によって描かれたと推測されるほか、本作で用いられる構図や高い運動性を示す表現などは、師であるカラッチの作品に霊感を受けたグイド・レーニが手がけた版画の影響と指摘されている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
巡礼者にパンを配る幼児キリスト 1678年頃
(The Child Jesus Distributing Bread Among the Pilgrims)
219×182cm | 油彩・画布 | ブダペスト美術館(ハンガリー)

スペイン・バロックにおけるセビーリャ派の巨匠バルトロメ・エステバン・ムリーリョ晩年期の名作『巡礼者にパンを配る幼児キリスト』。エステルハージイ・コレクションよりブダペスト美術館が所蔵することになった本作は、セビーリャ聖堂参事会員ドン・フェスティーノ・デ・ネベの依頼により、同地のデ・ロス・ベネラブレス慈善病院のために描かれた作品で、後輪の射す聖母マリアに抱かれた幼子イエスが、天使に導かれながら巡礼者に聖別されたパンを与える場面が描かれている。この最後の晩餐でイエスが十二人の弟子達に与えた聖物はキリストの肉に聖変化したと信じられており、教会ではミサの後に病者へ与えるものとしてパンを聖別する習慣を示している。ムリーリョ晩年期の特徴である明瞭で柔らかい色彩は長い歳月によってかなり失われてしまっているものの、画家独自の上品で幼さの残る聖母マリアや天使の表現や、セビーリャ派特有の実直な明暗対比の大きい描写などには、歳を重ねてなお冴える優れた個性を存分に発揮し描かれていることがわかる。また本作がエステルハージイ・コレクションに帰属されていたことから、時代を超えてスペインを代表する画家としてのムリーリョの名声が広く知られていたことが窺える。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
聖三位一体(聖家族) 1681-82年頃
(Trinidad o Sagrada Familia)
293×207cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

セビーリャ派の大画家ムリーリョ晩年の名作『聖三位一体(聖家族)』。おそらくはセビーリャの聖堂の祭壇画として制作された本作の画面下部では幼子イエスを中心とし左右へ聖母マリア、夫の聖ヨセフを配した≪聖家族≫を表し、画面上部に父なる神と神の一位である聖霊を配し、全体としてイエスの絶対的な神性を示した≪聖三位一体≫を表現したムリーリョとしてはやや珍しい構図が用いられている。しかしながら幼子イエスに見られる愛らしい無垢で上品な表情や、若々しい聖母マリアの美的表現はムリーリョ作品の最も素晴らしい特徴を存分に示している。本作のような名画がロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されていることからもわかるように、ムリーリョの柔らかい感情表現は18世紀前半のイギリスで特に人気を博し、同地を代表する画家トーマス・ゲインズバラも多大な影響を受けている。

解説の続きはコチラ
Copyright (C) Salvastyle.com - ++ All Rights Reserved.