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窓辺の女たち (Mujeres a la ventana) 1655-1660年頃
124×104cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
バルトロメ・エステバン・ムリーリョの世俗に対する類稀な観察眼と人物の愛らしい表現が見事に示される画家随一の傑作『窓辺の女たち』。本作に描かれる二人の人物については、近年まで窓辺からこちらを怪しげに見つめ誘う娼婦の少女と世話人を描いたと解釈されてきたが、今日ではセビーリャに住む一般(又は上流階級)の若い婦人と付添い人が描かれているとする解釈に傾倒しつつある。本作において最も魅力的な部分である少女は宗教画に代表されるムリーリョの柔らかく敬虔な聖母像の描写とは一線を画しており、いかにも人間的な含み笑いの表情を浮かべ、当時の社会や世間へ対する画家の考察が窺い知れる。
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