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無原罪の御宿り -エル・エスコリアル-
(Immaculate Conception)1660-65年頃
206×144cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
スペインの美の殿堂プラド美術館に所蔵されるセビーリャ派の画家ムリーリョの代表作『無原罪の御宿り』。エル・エスコリアールの「ラ・タシータ(親王の館)」が旧蔵していたことから『エル・エスコリアール』と呼ばれた本作の主題は、神の子イエスの母である聖母マリアが、マリアの母(イエスの祖母)アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたとする、最初は東方で唱えられ神学者の間で盛んに議論された後、1854年に公認された教理≪無原罪の御宿り≫で、17世紀スペインにおいて最も一般的に描かれた主題のひとつであった。聖三位の一位であるイエス、その聖器のマリア、マリアを生んだアンナそれぞれの関係性の議論により当時は公認されていなかったこの複雑な図解的規定を、学の無い者でもわかりやすいようムリーリョは簡略化し表現しており、それによってムリーリョはセビーリャの地を中心に圧倒的な人気を得ることになった。それを示すよう、画家は生涯において十数点、同主題の作品を描いている。
関連:無原罪の御宿り -ベネラブレス-
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