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無原罪の御宿り -ベネラブレス-
(Immaculate Conception)1678年
274×190cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
セビーリャ派の巨匠ムリーリョの代表作『無原罪の御宿り』。本作はセビーリャ地方ベネラブレス・サセルドーテス病院のために制作された作品のひとつで、1813年には進軍してきたナポレオン軍元帥スルトによって強奪されているも1941年に現在所蔵されるプラド美術館へ帰還、ムリーリョの『無原罪の御宿り』の中でも、最も完成度の高い作品として広く認知されている。本作の主題≪無原罪の御宿り≫とは神の子イエスが宿る聖器に選ばれた聖母マリアも、原罪(性交)なしに生まれた汚れの無い存在でなければならないとする聖母の神性の主張によって制定された教義であり、聖母信仰が盛んであったスペインにおいて、最も一般的な主題のひとつであった。数多く描かれてきた『無原罪の御宿り』の中で、本作で特に優れている点はムリーリョ独自の繊細で色彩豊かな聖母マリア降誕の描写であり、それはすなわち、セビーリャ派の深い陰影法にはなかった柔らかい光と影による表現が頂点に達することを意味している。
関連:無原罪の御宿り -エル・エスコリアル-
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