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リベカとエリエゼル (Rebeca y Eliezer)1650-1655年頃
108×152cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
ムリーリョ作品には多くない旧約聖書を主題に描かれた代表的な作品のひとつ『リベカとエリエゼル』。ムリーリョの傑作『善き牧者としての幼児キリスト』等の作品と共に国王フェリペ5世の王妃イザベル・デ・ファルネシオがセビーリャ滞在の際に買い上げられた作品である本作は、イスラエルの民の祖アブラハムが年頃になった息子イサクの妻となる女性を探す為に故郷メソポタミアへ忠実な下僕エリエゼルを差し向け、苦しい道中の末、到着したナホルの井戸端で疲れを癒す水を与えてくれる女性に出会わせてほしいと下僕エリエゼルが神に祈ると、水を汲みに井戸を訪れていた多くの女性の中から美しい娘であったリベカが水瓶から下僕エリエゼルとラクダに水を与えた場面≪井戸端のリベカ≫を描いたもので、リベカを始めとした水汲みの女性群や後景のラクダのある風景などに、セビーリャ派伝統の実直な厳しい明暗対比から、画家独自の柔らかく繊細で明るい色調によるムリーリョ独自の様式への転換が示されている。
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