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Introduction of an artist(アーティスト紹介)

ホセ・デ・リベラ(フセペ・デ・リベーラ) Josepe de Ribera
1591-1652 | スペイン | バロック・ナポリ派

17世紀ナポリ派における始祖的存在の画家。スペインの徹底したリアリズムや厳しい明暗法と、イタリアの解剖学に基づく正確な身体描写や雄弁で極端な構図を融合させ、規律的な写実と深い思想が混在するスペインのバロック様式を確立した。修行時代にローマへと渡り、カラヴァッジョ派の作風に強い影響を受ける。1616年、当時スペインの副王領であったナポリで結婚し、同街を拠点に活動をおこなう。ナポリではナポリ派として最も優れた画家として数多くの作品を残す。この頃の作品は強烈な光彩による厳しい明暗法を主体とした写実的描写が主流であったが、1620年代後半に入るとその手法に、アンニーバレ・カラッチグイド・レーニなどボローニャ派の特徴である明瞭な背景と力強い筆跡による大胆な構図が取り入れられ、後のスペインに多大な影響を与えた独自様式を確立。画業の後期からは。またリベラは大規模な工房を持ち、ルカ・ジョルダーノなど17世紀後半を代表する画家らを弟子に抱えていた。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
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聖ヒエロニムスと最後の審判を告げる天使 1626年頃
(San Jeronimo y el angel del Juicio Final)
185×133cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館

ナナポリ派の巨匠ホセ・デ・リベラによる、スペイン絵画の徹底した写実性とイタリアの古典主義的表現との融合の到達点を示す傑作『聖ヒエロニムスと最後の審判を告げる天使』。画家の表現において決定的な転機となった本作の主題は、4世紀に活動をおこなった聖人で、ラテン教会四大博士のひとりでもある聖ヒエロニムスが、荒野での修行中に聞いた最後の審判を告げるらっぱの吹奏場面≪聖ヒエロニムスの幻想≫で、本作では、執筆する聖ヒエロニムスの上で天使が最後の審判を告げるらっぱを吹いた為に、驚愕し振り返り見上げる聖人の姿を、暗闇の中で劇的に浮かび上がる光彩の使用と、それによって生じる深い陰影による豊かな感情表現や徹底した写実性とともに、清澄な色彩による抒情的な表現がなされているのが大きな特徴である。なおカポディモンテ国立美術館(ナポリ)が『聖ヒエロニムスと最後の審判を告げる天使』の別ヴァージョンを所蔵している。

関連:カポディモンテ国立美術館所蔵版

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十字架を担う聖アンデレ
(San Andrés con La Cruz) 1630-1632年頃
123×95cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

17世紀ナポリ派の始祖的存在にしてスペイン出身の偉大なる巨匠フセペ・デ・リベーラの画業において、中期を代表する重要な基準作のひとつ『十字架を担う聖アンデレ』。本作に描かれるのは、キリスト十二弟子のひとりで、兄であり十二弟子の筆頭である聖ペテロと共に主イエスに選ばれた最初の弟子である≪聖アンデレ≫で、リベーラ独自の様式を最も良く示している単身聖人像として広く認知されている。兄である聖ペテロがローマやスペインを中心としたカトリックに崇拝されたのに対し、聖アンデレは東方正教会(ギリシア正教)の地であるギリシアやロシアで特に崇拝されていた聖人であるが、リベーラやセビーリャ派の大画家ムリーリョを始めとした画家たちは聖アンデレを主題とした傑作を数々残している。主の昇天後、複数の地を経て住したペロポネッソス半島パトラス市のローマ総督アイギアスの妻マクシミリアの病を癒し改宗させたことから総督の怒りを買い、笞打ち刑に加え、X形十字架へ逆さ吊りの刑に処され殉教した聖アンデレを、画家の大きな特徴であるバロック絵画の巨匠カラヴァッジョの強い影響を受け形成された自然主義的な徹底したリアリズムと、深い明暗対比による厳しい明暗法を用い、静寂の中に劇的に差し込む光に聖アンデレを浮かび上がらせることによって聖人の深い精神性を表現している。このような表現手法こそリベーラ様式の大きな特徴であり、最も重要な魅力なのである。

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毛の生えた女(アブルッツィのマリア・ヴェントゥーラと彼女の夫と息子) (La Mujer Barbuda (Maddalena Ventura degli Abruzzi con su marido e hijo)) 1631年
196×127cm | 油彩・画布 | マルレ公爵家財団(トレド)

17世紀ナポリ派の巨匠フセペ・デ・リベーラが手がけた、西洋絵画史上、最も特異な作品のひとつ『毛の生えた女(アブルッツィのマリア・ヴェントゥーラと彼女の夫と息子)』。本作は37歳で顎と口に髭が生え出したと言うナポリ王国アブルッツィ出身の女マリア・ヴェントゥーラが、第三代アルカラ公爵に謁見した際、その珍しさに公爵が感激し、宗主国であったスペイン国王フェリペ三世へ知らせる為、リベーラへ依頼され制作された驚嘆に値する肖像画である。本作で描かれるマリア・ヴェントゥーラの姿は52歳の頃で、その腕に末子を抱き授乳しており、傍らには二人目の夫フェリックスが寄り添っている。また碑石は本作が制作されるまでの経緯が記されているほか、碑石の上の糸車は女性を暗示する物として、蝸牛は両性具有(男女の両性を備えた存在)の象徴として描かれている。本作ではマリア・ヴェントゥーラを始めとした登場人物の姿を照らすリベーラ独特の劇的な光と共に、深く厳しい明暗対比を用いた自然主義的な表現が強く示される典型的な作品としても知られており、その表現であるからこそ、見るからに男性の面持ちをしながらも、丸々とした乳房を出し我が子へ授乳するマリア・ヴェントゥーラの女性や母性を示す姿に、観る者は戸惑いを感じながらも、強く惹かれるのである。

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イサベラ・デ・カラッツィとディアンプラ・デ・ペティネルラの決闘 (Duelo entre mujeres) 1636年
235×212cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

実際に起きた女同士の決闘を描いたリベラを代表する作品『イサベラ・デ・カラッツィとディアンプラ・デ・ペティネルラの決闘』。本作はリベラが滞在していたナポリで実際におこなわれたファビオ・デ・ツェレソラという男性を巡る、イサベラ・デ・カラッツィとディアンプラ・デ・ペティネルラの両者による決闘の場面を描いたもので、リベラの円熟期にみられる暖色を用いた色彩表現と、感情の高ぶりを見せる決闘者や深い陰影法など、様々な点において画家としての完成度の高さが窺える。また本作は当時のナポリでは名誉を示し守るために日常化していた≪決闘≫を風刺した作品とも解釈されている。

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聖三位一体 (Trinidad) 1637年頃
267×170cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

ナポリ派の巨匠フセペ・デ・リベーラが描いたキリスト像の代表的な作例のひとつ『聖三位一体』。スペインの美の殿堂プラド美術館に所蔵される本作は、神の本質(ウーシア)は唯一でありながら、その位格は、この世の全てを創造した父なる神、人間の罪を受難によって十字架上で償った神の子イエス、使徒などに下される聖霊エゼキエルの鷹(または聖霊を示す白い鳩)の3つが同位にて存在することを意味し、現在のキリスト教の最重要教義とされている教義≪聖三位一体≫を表したもので、リベーラの大きな特徴となる解剖学に基づく正確な身体描写や雄弁で極端な構図と実直で深い明暗法との融合が示されている。画面上部の中央よりやや左に配される父なる神と、その姿の変わりとされる聖霊によって導かれ、複数の天使たちと共に天上へと昇天してゆく神の子イエスの御身は対称的に画面内で右斜めに配され、安定性を保ちながらも動きのあるダイナミックな場面展開を見せ、この感動的な場面を見事に表現している。このような驚嘆すべき≪聖三位一体≫の展開はそれまでに描かれた同主題の表現から逸脱しており、リベーラの非常に優れた才能が良い作例として、本作は現在も重要視されている。

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ヤコブを祝福するイサク (Isaac bendice a Jacob) 1637年
129×289cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

旧約聖書の一節を主題とした17世紀ナポリ派の大画家フセペ・デ・リベーラの代表作『ヤコブを祝福するイサク』。伝統の厳しい明暗法と高い写実性に解剖学に基づく正確な身体描写を用いたリベーラ独自の様式が多様に示される本作に描かれているのは、旧約聖書創世記の27章に記されるイスラエル民の祖アブラハムの子イサクと妻リベカの間に生まれた長男エサウと次男ヤコブとの相続に関する話≪ヤコブの夢≫より、次男ヤコブを溺愛しヤコブに家督を継がせようとした母リベカが、長男エサウが身に着けていた毛皮を次男ヤコブの両腕に巻き、二人で、老いて耳の遠くなった父イサクの下へ向かい、イサクを騙し長男エサウの相続権を奪う場面が描かれている。

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天使によって牢獄から救出される聖ペトロ 1639年頃
(Santo Pedro de Aquino confortado por los angeles)
177×232cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

17世紀ナポリ派の始祖フセペ・デ・リベーラ中期を代表する作品のひとつ『天使によって牢獄から救出される聖ペトロ』。スペインの美の殿堂プラド美術館に所蔵される本作の主題は、キリスト十二弟子の筆頭であり、イエスより教会の中心たる「岩」を意味するアラム語「ケファ(Kephas。ギリシャ語ではPetros)」と名付けられた初代ローマ教皇の聖ペトロが師イエスの磔刑後、エルサレムで捉えられるも天使によって牢獄から救出された奇蹟≪天使によって牢獄から救出される聖ペトロ≫を描いたもので、厳しい明暗法による徹底した写実性と、イタリアの解剖学に基づく正確な身体描写や雄弁で極端な構図を用いて、本主題をフセペ・デ・リベーラ独自の表現によって示されている。

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ヤコブの夢 (Suerio de Jacob) 1639年
179×233cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

強烈な光彩による厳しい明暗法を主体とした写実的描写が主流であったホセ・デ・リベラが、明瞭な背景と力強い筆跡による大胆な構図が取り入れ、独自の世界と様式を確立した1630年代の傑作『ヤコブの夢』。本作の主題は、旧約聖書から父イサク騙し、兄エサウの相続権を母リベカと共に奪ったが、激怒した兄エサウの復讐を恐れ逃げ出した道中に天使から啓示を受ける場面を描いた≪ヤコブの夢≫で、厳しい明暗を用いながらも思想的なヤコブの姿と、幻想性を見出した光の表現は、リベラのみならず、後のスペイン美術にも多大な影響を与えた。

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砂漠のマグダラのマリア(聖ターイス)
(Santa María Magdalena (or St Thais)) 1640-1641年頃
181×195cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

数少ないリベラの手がけた女性の聖人像の代表作『砂漠のマグダラのマリア』。本作は贅沢を尽くし遂には娼婦に身を落としたものの、悔悛し、主イエスの足に香油を塗り自らの髪で拭ったとされる、キリスト教で最も重要視される聖女のひとり≪マグダラのマリア≫を描いたもので、リベラ独特の厳しい陰影法を駆使した描写の中に、男性聖人像には見られない優雅で若干の悲壮を感じさせる表現が大きな特徴のひとつである。また一部では本作を聖ターイスとも解釈する説も唱えられている。

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エビ足の少年 (El Lisiado) 1642年頃
162×92cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

バロック・ナポリ派の巨匠ホセ・デ・リベラの、民衆と社会への鋭い観察眼が示される代表作『エビ足の少年』。ナポリのスティリアーノ公の依頼により画家の晩年期に近い1642年頃に制作された本作は、奇形の足をした少年の単身像を描いたもので、その左手にはラテン語で『神への愛故に、私へ施しを与えたまえ』と書かれた用紙(この用紙はナポリにおいて一種の乞食の証明書であった)と、木製の長身な松葉杖が持たされていることから、この少年が貧しく不幸な生い立ちの下に生きていることが窺い知れる。しかしながら少年は担うように松葉杖を持ちながら、誇らしげに不快ともとれる歯並びの悪い笑みを浮かべており、このことから本作では貧しき者への施しを意味した宗教的精神性を示す一方、したたかに生きる少年が示す当時の社会をありのままに表現した、リベラ好みの自然主義的な表現も用いられている。またアンニーバレ・カラッチグイド・レーニを始めとしたボローニャ派の影響である明瞭な青白色で描かれた背景や大気感の漂う筆使いなど、その他にもホセ・デ・リベラの画業における集大成的表現手法が随所に感じられる。

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