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聖三位一体(聖家族) 1681-82年頃
(Trinidad o Sagrada Familia)
293×207cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
セビーリャ派の大画家ムリーリョ晩年の名作『聖三位一体(聖家族)』。おそらくはセビーリャの聖堂の祭壇画として制作された本作の画面下部では幼子イエスを中心とし左右へ聖母マリア、夫の聖ヨセフを配した≪聖家族≫を表し、画面上部に父なる神と神の一位である聖霊を配し、全体としてイエスの絶対的な神性を示した≪聖三位一体≫を表現したムリーリョとしてはやや珍しい構図が用いられている。しかしながら幼子イエスに見られる愛らしい無垢で上品な表情や、若々しい聖母マリアの美的表現はムリーリョ作品の最も素晴らしい特徴を存分に示している。本作のような名画がロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されていることからもわかるように、ムリーリョの柔らかい感情表現は18世紀前半のイギリスで特に人気を博し、同地を代表する画家トーマス・ゲインズバラも多大な影響を受けている。
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