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嬰児虐殺(幼児虐殺) (Strage degli Innocenti) 1611年
268×170cm | 油彩・画布 | ボローニャ国立美術館 |
グイド・レーニ随一の傑作『嬰児虐殺(幼児虐殺)』。画家として独り立ちをしたローマ時代に描かれた本作の主題は、未来のユダヤの王(つまりイエス)が生誕したのを受け、その幼児の殺害をおこなうために、ユダヤの王ヘデロの命によってベツレヘムに生まれた全ての二歳以下の幼児の虐殺をおこなう兵士と、その母子を描いた≪嬰児虐殺(幼児虐殺)≫で、明瞭で秩序的な主義的様式の中に、劇場性と物語性を加えられたその表現と悲観的情景は、当時からグイド・レーニの代表作として高い評価を受けた。画面中央部分の幼児を殺害する兵士達の鬼気とした表情や、殺害から必死に逃れる母子の緊迫した表現は、本場面の緊張感を存分に伝えてるだけではなく、主題の高い聖性をも示している。また本作の主題≪嬰児虐殺(幼児虐殺)≫の幼児は、キリスト教における最初の殉教者として東西の教会で崇められ、5世紀以降、盛んに描かれた題材のひとつでもある。
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