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ネッソスに略奪されるディアネイラ
(Uccisione di Nesso (Storie d'Ercole)) 1621年頃
259×193cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) |
グイド・レーニの古典的様式が顕著に示される連作神話画の傑作≪ヘラクレスの物語≫より、その代表的な一枚『ネッソスに略奪されるディアネイラ』。本作の主題は、ティリュンス王妃アルクメネと、王に姿を変えたユピテルの間に生まれた神話上の男性で、数々の武勇伝を残した英雄ヘラクレスが、妻である河神の娘ディアネイラをケンタウロスのネッソスに奪い連れ攫われる場面≪ネッソスに略奪されるディアネイラ≫を描いたもので、フェルディナンド・ゴンザーグ公が建設させたヴィラ・ファヴォリタの装飾画として依頼された。本作において最も重要なのは、グイド・レーニがそれまでに培ってきた古典的表現手法と、大胆な構想と高い演劇性による劇的な描写の融合の顕示であり、特にディアネイラとネッソスの激しい運動性の表現は、当時の画家の作品の中でも、最良例のひとつとして挙げられるものである。
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