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奏楽の天使に慰められる聖フランチェスコ 1620年頃
(San Francisco confortado por un angel músico)
204×158cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
フランシスコ・リバルタ後期の代表的な作品のひとつ『奏楽の天使に慰められる聖フランチェスコ』。本作に描かれる主題は、清貧、純潔、貞淑を旨とした聖フランシスコ会の創始者で、中世以降、最も人気を博した聖人のひとりでもある裕福なアッシジ商の息子フランチェスコが、病に苦しみ臨終を迎えつつある時に、奏楽の天使が天上から舞い降り、その苦痛を和らげたとされる逸話≪奏楽の天使に慰められる聖フランチェスコ≫で、本作以外にもウォズワース・アテネウムなどに同主題の作品が所蔵されている。奏楽の天使と子羊の突然の出現に驚く聖フランチェスコの豊かな感情表現は、暗中の寝床を照らす強烈な光によって劇的に描写されている。また本作に示される聖フランチェスコの深い瞑想性や精神的な実直さを感じさせる登場人物の表現は秀逸の一言であるほか、やや自然主義的な表現を用いながらも、フランシスコ・リバルタは類稀な表現力によって本主題の霊的な幻想性を見事に示した。
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