Description of a work (作品の解説)
2006/12/26掲載
Work figure (作品図)
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二人の紳士と婦人(ワイングラスを持つ娘)


(Dame en twee heren) 1660年頃
78×67cm | 油彩・画布 | アントン・ウルリッヒ美術館

フェルメールの進化が示される代表作『二人の紳士と婦人』。ブラウンシュヴァイクのヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館に所蔵される本作は、ワイングラスを手にこちらを思惑的な眼差しで見つめる女性と、女性に言い寄る紳士、頬杖をつく紳士を描いた風俗画で、明確な矩形の床に代表される空間構成から、フェルメールが生涯を過ごしたデルフトの街で活躍した風俗画家ピーテル・デ・ホーホの影響を強く受け制作されたと考えられている。殆どの研究者が類似点を指摘する1658-59年頃に手がけた『紳士とワインを飲む女(ブドウ酒のグラス)』と比べ、フェルメールはピーテル・デ・ホーホ様式を踏襲しながらも、構成要素を再構築し、観る者に心地よさを感じさせる、より自然で開放的な空間を画面内に創り出している。また画面右部の床と壁付近の矩形に注目すると酷く歪んで見えるが、これは画家が透視法に則った為に不自然さが際立ってしまった例で、本作以降の作品には見られないことから、フェルメールの空間描写における進化の過程を示す要点のひとつとして特筆に値する。

関連:『紳士とワインを飲む女(ブドウ酒のグラス)』


【全体図】
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ワイングラスを手にこちらを思惑的な眼差しで見つめる女性と、女性に言い寄る紳士。本作は明確な矩形の床に代表される空間構成から、フェルメールが生涯を過ごしたデルフトの街で活躍した風俗画家ピーテル・デ・ホーホの影響を強く受け制作されたと考えられている。



【観者を見つめる女性と言い寄る紳士】
明るく自然な光の描写。殆どの研究者が類似点を指摘する1658-59年頃に手がけた『紳士とワインを飲む女(ブドウ酒のグラス)』と比べ、フェルメールはピーテル・デ・ホーホ様式を踏襲しながらも、構成要素を再構築し、観る者に心地よさを感じさせる、より自然で開放的な空間を画面内に創り出している。



【明るく自然な光の描写】
酷く歪んで見える矩形の床。画面右部の床と壁付近の矩形に注目すると酷く歪んで見えるが、これは画家が透視法に則った為に不自然さが際立ってしまった例で、本作以降の作品には見られないことから、フェルメールの空間描写における進化の過程を示す要点のひとつとして特筆に値する。



【酷く歪んで見える矩形の床】

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