2006/12/10掲載
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眠る女(Slapend meisje) 1657年頃86.5×76cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館
失恋し、憂鬱とワインによって酔いつぶれ眠る女性。本作は年記は記されていないものの、作品内へ画家の迷いや未熟さが示されることから、制作年代をほぼ全ての研究者が異論なく『娼婦(取り持ち女)』の次に位置付けている。
【酔いつぶれ眠る女性】
別の視点で描かれる奥の部屋。X線調査によって本作には、部屋の境には一匹の犬が、奥の部屋には男性が描かれいたも、画家が製作過程で消し去ったことが判明しているほか、手前と奥の部屋が別の視点から描かれることで空間内に矛盾が生じているなど、空間構成に画家が苦心した痕跡が示されている。
【別の視点で描かれる奥の部屋】
不誠実を意味する仮面。眠る女性の背後には画家C・ファン・エーフェルディンゲンによる『仮面を踏むキューピッド』(キューピッドは愛を、仮面は不誠実を意味する)が画中画として描かれていることなどから、本作は失恋し憂鬱とワインによって酔いつぶれている女性であると解釈されている。
【不誠実を意味する仮面】 |