2007/01/23掲載
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窓辺で水差しを持つ女(Vrouw met waterken)1662-65年頃45.7×42cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館
水差しを持つ女性。幾つもの優れた作品を残している1660年代に手がけられた本作は、左側に窓が配した部屋の中で日常生活を過ごす女性の単身像という画家の典型的な作例のひとつであるが、その完成度は非常に高く、特に綿密な計算によって塗り重ねられた透明感を感じさせる色彩表現は特筆に値する。
【水差しを持つ女性】
タペストリー布が映り込んだ水差し皿。女性が左手に持つ、よく磨かれたであろう光沢感の強い銀の水差しの皿に映り込む、テーブルに掛けられたタペストリー布の類稀な反射表現は、否が応にも観る者の視線を水差しへと向けさせる。
【タペストリー布が映り込んだ水差し皿】
作者が判明している当時のオランダの地図。窓際で水差しを手に、おそらく窓を開けているのであろう女性の被る白頭巾の薄く青みがかった白色の表現は、背後の白壁と明らかに異なる存在感を放っており、その透明的でありながら明暗を明確に示す色彩の階調の変化は、観る者に清涼感すら感じさせる。
【当時のオランダの地図】 |