2011/01/20掲載
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ユダの裏切り(スクロヴェーニ礼拝堂壁画連作)(Tradimento di Giuda) 1304-1306年 150×140cm | フレスコ | スクロヴェーニ礼拝堂(パドヴァ)
神の子イエスへ接吻する裏切り者ユダ。その生涯で様式的変化が著しいジョットの数少ない基準作としても特に重要視される本作は、スクロヴェーニ礼拝堂左右壁面中段に描かれる「キリストの生涯」を題材とした24場面中、第13場面≪ユダの裏切り(ユダの接吻)≫を主題とした作品である。
【接吻する裏切り者ユダ】
イエスの捕縛を命令するユダヤの司祭長。本作では画面のほぼ中央へ神の子イエスへ接吻をおこなうユダの姿が描かれており、この本来ならば愛情を示す接吻行為そのものが(ユダの)裏切りという罪の重さを強調させる。
【捕縛を命令するユダヤの司祭長】 小刀を片手に司祭の僕へ襲い掛かる聖ペテロ。本作の群集構図的展開の中で身に着ける黄色の外衣(外套)を広げ受難者イエスへ近づくユダの質量的な描写や、凛とした美麗なイエスの表情と裏切りという罪に歪むユダの醜状的な表情の対比は秀逸の出来栄えを示している。
【司祭の僕へ襲い掛かる聖ペテロ】 |