Description of a work (作品の解説)
2011/01/20掲載
Work figure (作品図)
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ユダの裏切り(スクロヴェーニ礼拝堂壁画連作)


(Tradimento di Giuda) 1304-1306年
150×140cm | フレスコ | スクロヴェーニ礼拝堂(パドヴァ)

14世紀イタリアで活躍したゴシック期の大画家ジョット・ディ・ボンドーネの最重要作品群スクロヴェーニ礼拝堂壁画連作より『ユダの裏切り(ユダの接吻)』。その生涯で様式的変化が著しいジョットの数少ない基準作としても特に重要視される本作は、裕福な銀行家の子息エンリコ・スクロヴェーニが建てたアレーナ礼拝堂(正式名サンタ・マリア・アヌンツィアータ聖堂)の装飾フレスコ画として手がけられた作品群の中の1点で、左右壁面中段に描かれる「キリストの生涯」を題材とした24場面中、第13場面≪ユダの裏切り(ユダの接吻)≫を主題とした作品である。新約聖書の4福音書全てに記述が残される本主題≪ユダの裏切り≫は、日々ユダヤの民への影響力を増し続ける神の子イエスを、銀貨30枚を条件に身柄を引き渡す密約をユダヤの司祭らと交わしていた12使徒(イエスの12人の弟子)のひとりユダが、司祭長や兵士らを引き連れゲッセマネ(オリーブ山麓の園)で祈りを終えたイエスと対面し、(司祭らにイエスだということを示す為の)挨拶の接吻をおこなうという内容で、この時、12使徒のひとりでイエスの最初の弟子としても知られる聖ペトロが逆上しユダヤ司祭の僕の耳を切り落としたという逸話も残されている。本作では画面のほぼ中央へ神の子イエスへ接吻をおこなうユダの姿が描かれており、この本来ならば愛情を示す接吻行為そのものが(ユダの)裏切りという罪の重さを強調させる。また両者の周囲には松明や長槍を手にする大勢の兵士ら描き込まれており、その中には受難者イエスの逮捕を指示するユダヤの司祭長(画面右側最前景の人物)や、刃物(小刀)を手に司祭長の僕へ襲いかかろうとする聖ペトロ(画面左側で光輪が描かれる人物)の姿も確認することができる。本作の群集構図的展開の中で身に着ける黄色の外衣(外套)を広げ受難者イエスへ近づくユダの質量的な描写や、凛とした美麗なイエスの表情と裏切りという罪に歪むユダの醜状的な表情の対比などはスクロヴェーニ礼拝堂連作壁画の中でも特に優れた出来栄えを示している。


【全体図】
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神の子イエスへ接吻する裏切り者ユダ。その生涯で様式的変化が著しいジョットの数少ない基準作としても特に重要視される本作は、スクロヴェーニ礼拝堂左右壁面中段に描かれる「キリストの生涯」を題材とした24場面中、第13場面≪ユダの裏切り(ユダの接吻)≫を主題とした作品である。



【接吻する裏切り者ユダ】
イエスの捕縛を命令するユダヤの司祭長。本作では画面のほぼ中央へ神の子イエスへ接吻をおこなうユダの姿が描かれており、この本来ならば愛情を示す接吻行為そのものが(ユダの)裏切りという罪の重さを強調させる。



【捕縛を命令するユダヤの司祭長】
小刀を片手に司祭の僕へ襲い掛かる聖ペテロ。本作の群集構図的展開の中で身に着ける黄色の外衣(外套)を広げ受難者イエスへ近づくユダの質量的な描写や、凛とした美麗なイエスの表情と裏切りという罪に歪むユダの醜状的な表情の対比は秀逸の出来栄えを示している。



【司祭の僕へ襲い掛かる聖ペテロ】

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