Description of a work (作品の解説)
2008/03/28掲載
Work figure (作品図)
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沐浴(湯浴み)

 (The Bath) 1892年
100.5×66cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

印象主義時代の女流画家のひとりメアリー・カサットの代表的作例のひとつ『沐浴(湯浴み)』。1893年にパリで開催された画家の個展で展示された作品のひとつである本作に描かれるのは、カサットの典型的な画題である≪母と子≫を用いた沐浴の情景である。母親に抱かれながら足を洗われる子供の白い肌や子供の腰に巻かれる白布、陶製の水差し、水桶など、はやや暗めの色調が支配する画面の中で一際存在感を示しているほか、密着する母子の距離感(両者の寄り添う姿)に双方の緊密な関係性を見出すことができる。また高く取られた視点の採用とそれによる垂直の強調、明確な輪郭線、母親の身に着ける太い縞模様の衣服の装飾性、平面的な色彩展開などは明らかに日本趣味(ジャポニズム)、特に日本の版画からの影響をうかがわせる。さらに母子の腰を中央に置いて両者の身体が対角線上に配される(交わる)画面展開や、背後の壁の装飾と壁際によって強調される水平的要素は、本作のジャポニズム的な(奇抜)な構図の面白さをより高める効果を発揮している。場面全体の雰囲気としては子供の無邪気さや奔放性など、本作からは(ある種の)喧騒性は一切感じられず、古典的な宗教画にも通じる静謐な空気や穏やかな母の愛情が本場面を支配している。洗練された画家の作品展開や豊かな表現力を堪能することができる本作は公開当時より多くの人の注目を集めたことが知られており、今なお我々の眼を惹きつけてやまない。


【全体図】
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子の足先へと視線を落す母の姿。1893年にパリで開催された画家の個展で展示された作品のひとつである本作に描かれるのは、カサットの典型的な画題である≪母と子≫を用いた沐浴の情景である。



【子の足先へと視線を落す母の姿】
母に抱かれながた足を洗われる子供。母親に抱かれながら足を洗われる子供の白い肌や子供の腰に巻かれる白布、陶製の水差し、水桶など、はやや暗めの色調が支配する画面の中で一際存在感を示している。



【母に抱かれながた足を洗われる子供】
母親が身に着ける太い縞模様の衣服の装飾性。子供の無邪気さや奔放性など、本作からは(ある種の)喧騒性は一切感じられず、古典的な宗教画にも通じる静謐な空気や穏やかな母の愛情が本場面を支配している。



【太い縞模様の衣服の装飾性】
明確な輪郭線の使用と高い視点による構図展開。高く取られた視点の採用とそれによる垂直の強調、明確な輪郭線、母親の身に着ける太い縞模様の衣服の装飾性、平面的な色彩展開などは明らかに日本趣味(ジャポニズム)、特に日本の版画からの影響をうかがわせる。



【明確な輪郭線の使用】

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