Description of a work (作品の解説)
2008/03/07掲載
Work figure (作品図)
■ 

舟遊びする人たち

 (The Boating Party) 1893-1894年
90.2×117.2cm | 油彩・画布 | National Gallery (Washington)

米国出身の女流画家メアリー・カサットを代表する作品のひとつ『舟遊びする人たち』。本作が制作された翌年の1895年に画商デュラン=リュエルのニューヨークの画廊で開催された米国で最初の個展の主要作品である本作は、ボートに乗る(舟遊びする)母子と、それを漕ぐ男を描いた作品である。画家は本作を制作した1893年から南仏(地中海沿岸)のアンティーブに滞在しており、本作はカサットの弟ガードナー夫妻とその子供をモデルに、そこでの情景を描いたと考えられている。また本作は多くの類似点が認められることから、印象派の始祖的存在であるエドゥアール・マネの『船遊び(ボート遊び)』に着想を得ていると推測されている。ジャポニズムの洗礼を受けていたカサットらしく、大胆な構図展開が観る者の目を惹き付ける本作の画面右手前の大部分は、ボートを漕ぐ弟ガードナーの姿で覆われている。また弟ガードナーの対面のボートの尖頭には妻が子供を抱きながら意味深な視線を漕ぎ手へ向けている。弟ガードナーが身に着ける衣服や水面などはやや深く重々しい色彩によって表現されているが、それとは対称的に母子とボート(船)の色彩は色鮮やかで華やかさが際立っている。なお本作は、視力の衰えから絵画制作を断念してしまう1914年まで画家自身が手元に置いていたことから、画家個人としても大変重要視していたと思われる。

関連:エドゥアール・マネ作 『船遊び(ボート遊び)』


【全体図】
拡大表示
ボートを漕ぐカサットの弟ガードナー。画家は本作を制作した1893年から南仏(地中海沿岸)のアンティーブに滞在しており、本作はカサットの弟ガードナー夫妻とその子供をモデルに、そこでの情景を描いたと考えられている。



【ボートを漕ぐカサットの弟ガードナー】
夫に向けられる意味深げな視線。印象派の始祖的存在であるエドゥアール・マネの『船遊び(ボート遊び)』に着想を得ていると推測されており、大胆な構図展開が観る者の目を惹き付ける本作の画面右手前の大部分は、ボートを漕ぐ弟ガードナーの姿で覆われている。



【夫に向けられる意味深げな視線】
母に抱かれる幼児の鮮やかな色彩。弟ガードナーが身に着ける衣服や水面などはやや深く重々しい色彩によって表現されているが、それとは対称的に母子とボート(船)の色彩は色鮮やかで華やかさが際立っている。



【母に抱かれる幼児の鮮やかな色彩】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ