Description of a work (作品の解説)
2008/01/28掲載
Work figure (作品図)
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孫たちに本を読んでやるカサット夫人


(Mme Cassatt lisant à ses petits-enfants) 1880年
55.7×100cm | 油彩・画布 | ミニー・カサット氏所蔵

印象主義時代を代表する女流画家のひとりメアリー・カサット作『孫たちに本を読んでやるカサット夫人』。1881年に開催された第6回印象派展に出品された本作は、1880年にカサットの家族全てが避暑用に借りたマルリー=ル=ロワの家に集まった際、メアリー・カサットが見たのであろう、カサット夫人(画家の母親)が画家の兄アレクサンダーの子供たち(カサット夫人とは孫の関係にあたる)に本を読んであげている情景を描いた作品である。横長の画面や彩度が抑えられた色彩は予予、画家が取り組みたいと望んでいた初期イタリアのフレスコ画風の展開であるが、基本的には室内画でありながら窓から射し込む陽光によって、生命感に溢れた光に満ちている。画面左側のカサット夫人を中心に孫たち(キャサリン、ロビー、エルジー)が対面、前隣、奥隣へと夫人を囲むかのように配されている。のどかな田舎の情景を思わせる幸福的な人物らは、本作の陽光に呼応したかのような明るい色調の衣服を身に着け、それによってより効果的に観る者の視線を自然と主対象(カサット夫人と子供たち)へと向けさせる。さらに細部では白色の斑点状の筆触など印象主義的な表現も確認することができ、画家がこの頃、陽光の表現に高い関心を示していたことをうかがい知ることができる。なおカサット夫人は画家が己の家族を描いた作品が他人の手に渡ることはないだろうと考えていた(孫キャサリンへ送った手紙にその旨が記されている)本作であるが、メアリー・カサットは印象派展後、以前から購入したいと申し出ていたモイーズ・ドレフュスに売却してしまったものの、家族らの強い要望もあり、後に買戻し、兄アレクサンダーへ贈ったとの逸話も残されている。


【全体図】
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孫たちに本を読んでやる画家の母カサット夫人。1881年に開催された第6回印象派展に出品された本作は、1880年にカサットの家族全てが避暑用に借りたマルリー=ル=ロワの家に集まった時、カサット夫人が画家の兄アレクサンダーの子供たちに本を読んであげている情景を描いた作品である。



【本を読んでやる画家の母カサット夫人】
祖母の話を真剣に聞くアレクサンダーの子供たち。画面左側のカサット夫人を中心に孫たちが対面、前隣、奥隣へと夫人を囲むかのように配され、のどかな田舎の情景を思わせる幸福的な人物らは、本作の陽光に呼応したかのような明るい色調の衣服を身に着け、それによってより効果的に観る者の視線を自然と主対象(カサット夫人と子供たち)へと向けさせる。



【祖母の話を聞くアレクサンダーの子供】
祖母の方を向く幼い子供。横長の画面や彩度が抑えられた色彩は予予、画家が取り組みたいと望んでいた初期イタリアのフレスコ画風の展開であるが、基本的には室内画でありながら窓から射し込む陽光によって、生命感に溢れた光に満ちている。



【祖母の方を向く幼い子供】

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