Description of a work (作品の解説)
2008/02/15掲載
Work figure (作品図)
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母と子

 (Mother Wearing a Sunflower on Her Dress)
1905年頃 | 92.1×73.7cm | 油彩・画布
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

米国を代表する女流画家のひとりメアリー・カサットが手がけた傑作的作品『母と子』。本作は画家が生涯の中で数多く制作している≪母と子≫を画題とした作品の中の一点で、本作は視力の衰えが顕著になる数年前に手がけられた晩年期の作品となる(画家の視力は1910年頃から衰え始め、その数年後には絵画制作そのものを断念せざるを得ない状態にまで悪化した)。画面中央から右に緑色の椅子に座る母親と、左に母の膝の上に座る子が配されており、両者が一緒に持つ手鏡には子の姿が映り込んでいる。画家自身、生涯独身であり子供を授かることは無かったが、本作には母と子の温かで緊密な関係性と、子に対する母の豊かな母性が良く示されている。また鏡を利用した複雑な空間構成(手鏡の置くにも椅子と同じく緑色の鏡が置かれている)と、それと対応するかのような茶色の壁による平面化は、画家の並々ならぬ創意と工夫の賜物であり、本作ではそれらが優れた結果として画面の中に表れている。さらに画家特有の暖色を多用した色彩構成や補色の使用はこの頃手がけられた画家の作品の中でも白眉の出来栄えである。なお母親の胸に飾られる一輪の向日葵や子供(女の子)の解釈については象徴し儀的解釈など諸説唱えられているが、現在までにどれも確証を得るには至っておらず、更なる研究や議論が待たれる。


【全体図】
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手鏡を覗き込む母親の姿。本作は画家が生涯の中で数多く制作している≪母と子≫を画題とした作品の中の一点で、本作は視力の衰えが顕著になる数年前に手がけられた晩年期の作品となる(画家の視力は1910年頃から衰え始め、数年後には絵画制作そのものを断念せざるを得ない状態にまで悪化した)。



【手鏡を覗き込む母親の姿】
手鏡に映る自身の姿を見る幼児。画面中央から右に緑色の椅子に座る母親と、左に母の膝の上に座る子が配されており、両者が一緒に持つ手鏡には子の姿が映り込んでおり、本作には母と子の温かで緊密な関係性と、子に対する母の豊かな母性が良く示されている。



【手鏡に映る自身の姿を見る幼児】
手鏡に映った幼児の姿。鏡を利用した複雑な空間構成(手鏡の置くにも椅子と同じく緑色の鏡が置かれている)と、それと対応するかのような茶色の壁による平面化は、画家の並々ならぬ創意と工夫の賜物であり、本作ではそれらが優れた結果として画面の中に表れている。



【手鏡に映った幼児の姿】

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