Description of a work (作品の解説)
2009/09/03掲載
Work figure (作品図)
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マルディ=グラ(謝肉祭の最終日)


(Mardi-Gras) 1888-1890年頃
100×81cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館

偉大なる近代絵画の創始者ポール・セザンヌ随一の肖像画作品『マルディ=グラ(謝肉祭の最終日)』。≪謝肉祭(カーニバル)の最終日≫を意味する『マルディ=グラ』との名称が付けられた本作は、画家の息子ポールと、画家の友人ルイ・ギヨームをモデルとする、≪コメディア・デラルテ(16世紀〜18世紀の欧州で流行した即興演劇のひとつ)≫の登場人物≪アルルカン≫と≪ピエロ≫を描いた二重肖像画である。画面右側に描かれた、伝統的な赤色と黒色の菱形模様が特徴的な衣服と長杖(スラップスティック)を手にする、すらりとした肉体のアルルカンはセザンヌの息子ポール(当時16歳)がモデルとなっており、本作以外でもアルルカン単身の作品(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵)が複数、制作されていることが知られている。その表情は実にりりしく堂々としており、衣服の強烈な赤色と黒色との対比的効果も手伝い、観る者を惹き付ける。画面左側には画家の友人ルイ・ギヨームをモデルとした、ややゆったりとした白い衣服と帽子を身に着けたピエロが、アルルカンの後ろに付くような姿態で描き込まれており、これもアルルカンの衣服との色彩的対比と身体的特徴の対比により視覚的な面白味を与えることに成功している。さらに本作で注目すべきは秀逸な画面構成にある。画面最上部中央から八の字に広がる(やや重々しい色調の)カーテンと登場人物(アルルカンとピエロ)は見事に構成的一致を示している。そしてピエロの衣服の皺で強調される直線性が構成要素、そして造形としての堅牢性と安定性を与えている。これらはセザンヌの作品において最も重要な様式的・表現的・描写的特徴であり、後世への影響も考慮すると特筆に値するものである。


【全体図】
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凛々しい表情を浮かべる画家の息子ポール。画面右側に描かれた、伝統的な赤色と黒色の菱形模様が特徴的な衣服と長杖(スラップスティック)を手にする、すらりとした肉体のアルルカンはセザンヌの息子ポール(当時16歳)がモデルとなっており、本作以外でもアルルカン単身の作品が複数、制作されていることが知られている。



【画家の息子ポールの凛々しい姿】
ピエロに扮したセザンヌの友人ルイ・ギヨーム。≪謝肉祭(カーニバル)の最終日≫を意味する『マルディ=グラ』との名称が付けられた本作は、画家の息子ポールと、画家の友人ルイ・ギヨームをモデルとする、≪コメディア・デラルテ(16世紀〜18世紀の欧州で流行した即興演劇のひとつ)≫の登場人物≪アルルカン≫と≪ピエロ≫を描いた二重肖像画である。



【ピエロに扮したルイ・ギヨーム】
堅牢で構成的なピエロの衣服。画面最上部中央から八の字に広がる(やや重々しい色調の)カーテンと登場人物(アルルカンとピエロ)は見事に構成的一致を示している。そしてピエロの衣服の皺で強調される直線性が構成要素、そして造形としての堅牢性と安定性を与えている。



【堅牢で構成的なピエロの衣服】

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