2007/11/05掲載
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女と菊の花(菊のある婦人像)(Femme aux Chrysanthemes) 1865年 73.7×92.7cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館
画面の外へと向けられているヴァルパンソン夫人の視線。本作に描かれるのは、数種類の花が混在した花瓶や水差しを配した、画家の幼少期からの友人ポール・ヴァルパンソンの妻ヴァルパンソン夫人の肖像である(モデルについてはエルテル夫人とする説もある)。
【画面の外を向くヴァルパンソン夫人】
画面の中央に配される花の束。ヴァルパンソン夫人は画面のかなり右寄りに配され、その視線も画面の外へと向けられている。この大胆な構図が用いられ、画面外への広がりを感じさせる空間的特異性や意外性は写真を思わせるトリミング手法に通じており、本作の最も大きな特徴でもある。
【画面の中央に配される花の束】
机上に置かれるガラスの水差し。本場面は園芸用の手袋がテーブル上の水差しの手前(画面左部分)に描かれていることから、田舎の別荘の庭から摘んだ花を大きな花瓶に生け終え、一息ついている情景を描写したものと思われる。
【机上に置かれるガラスの水差し】 |