Description of a work (作品の解説)
2007/09/07掲載
Work figure (作品図)
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カフェ・コンソール(犬の歌)


(Au Cafe-Concert : La Chanson du Chien) 1876-1877年
57.5×45.5cm | モノタイプ・アクリル/グワッシュ |
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)

印象派の巨匠エドガー・ドガの代表的な作品のひとつ『カフェ・コンソール』。犬のような歌手の手(腕)の仕草から、『犬の歌』とも呼称される本作に描かれるのは、当時の知識人や芸術家が集い己の思想や芸術論を語ったパリのカフェで歌う女性歌手の姿で、近代的な画題による人工的な光の描写や混沌とした独特の雰囲気、非現実的にすら感じられる画面空間における遠近感の喪失的表現などは、画家の作品の中でも特筆に値する出来栄えを示している。画面右部分に斜横から上半身だけ描かれる女性歌手は足元に置かれた人工的な光源によって暗中に浮かび上がっている。このような独自的で極めて近代性を感じさせる光の表現は1870年頃以降の画家が精力的に取り組んだ描写的課題のひとつであり、その効果は女性の独特な仕草をより強調するだけでなく、その特異性(やある種の滑稽性)も観る者に強く印象付けることにも成功している。また近代性(近代的生活)がもたらした人々の変化やその様相を描写することにもドガは強い関心を見せており、本作では画面左部分に配されるカフェへ集う様々な人物たちの混沌とした雰囲気や、突如、空間内へ白く浮かび上がるように描かれたガス灯の描写にそれらが示されている。その他にも(日本の浮世絵に通じる)全体像から切り取ったかのような特異的で奇抜な構図や大胆な人物配置なども注目すべき点のひとつである。


【全体図】
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カフェで歌う女性歌手。犬のような歌手の手(腕)の仕草から、『犬の歌』とも呼称される本作に描かれるのは、当時の知識人や芸術家が集い己の思想や芸術論を語ったパリのカフェで歌う女性歌手の姿である。



【カフェで歌う女性歌手】
犬のような仕草を見せる女性歌手の手(腕)。独自的で極めて近代性を感じさせる本作のような光の表現は画家が精力的に取り組んだ描写的課題のひとつであり、その効果は女性の独特な仕草をより強調するだけでなく、その特異性も観る者に強く印象付けることにも成功している。



【犬のような仕草を見せる歌手の手(腕)】
カフェへ集う様々な人物たちの混沌とした雰囲気。近代性(近代的生活)がもたらした人々の変化やその様相を描写することにもドガは強い関心を見せており、本作ではカフェへ集う様々な人物たちの混沌とした雰囲気や、突如、空間内へ白く浮かび上がるように描かれたガス灯の描写にそれらが表れている。



【カフェへ集う人々の混沌とした雰囲気】

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