Description of a work (作品の解説)
2007/04/17掲載
Work figure (作品図)
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室内(強姦)

(Intérieur (Le viol)) 1868-1869年
81.3×114.4cm | 油彩・画布 | フィラデルフィア美術館

印象派の巨匠エドガー・ドガの最も特異かつ謎めいた作品『室内(強姦)』。画家自身が「愛すべき我が風俗画」と明言した本作に描かれるのは、ある室内に男と女を一人づつ描いた作品であるが、この意味深げな場面は作品公開当時から様々な憶測を呼んでいる。美術史家セオドア・レフを始めとした人々や批評家たちは、類似点が見られることから文学者エミール・ゾラやドガの友人エドモン・デュランティなどの小説に基づき強姦・姦通の場面を描いたものだと推察するも、それらは憶測に過ぎず、現在も明確な定説は提唱されていない。本場面の画面右端にじっと立つ男と、画面左部分で男に背を向け座る下着姿(半裸)の女の状態、二人の近くない距離感、そして床に脱ぎ捨てられたコルセットや画面中央のテーブル上に置かれる(おそらく裁縫)箱、皺のよらない寝台などに、この男女の徒ならぬ(意味深な)関係性を如実に感じさせ、その真意は画家にしか理解できないものの、登場人物が醸し出す心理的な緊張感を感じさせる本作の場面描写はドガ芸術の真骨頂のひとつである。さらにテーブルの上で晧々と灯るランプの人工的な光や、奥行きを強く感じさせる空間構成などは、男女間の不安的ながら(物語的ですらある)独特の現実感をさらに強調し、観る者を強く惹きつけるのである。なお本作はその内容や解釈から過去には『強姦』と呼称されていたも、現在では『室内』と呼ぶのが一般的である。


【全体図】
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壁に寄りかかりじっと立つ男。本作の意味深げな場面は作品公開当時から様々な憶測を呼んでおり、美術史家や批評家たちは、文学者エミール・ゾラやエドモン・デュランティなどの小説に基づき強姦・姦通の場面を描いたものだと推察するも、それらは憶測に過ぎず、現在も明確な定説は提唱されていない。



【壁に寄りかかりじっと立つ男】
男に背を向け座る下着姿(半裸)の女。本場面からは、この男女の徒ならぬ(意味深な)関係性を如実に感じさせ、その真意は画家にしか理解できないものの、登場人物が醸し出す心理的な緊張感を感じさせる描写はドガ芸術の真骨頂のひとつである。



【男に背を向け座る下着姿(半裸)の女】
床に脱ぎ捨てられたコルセット。テーブルの上で晧々と灯るランプの人工的な光や、奥行きを強く感じさせる空間構成などは、男女間の不安的ながら(物語的ですらある)独特の現実感をさらに強調し、観る者を強く惹きつけるのである。



【床に脱ぎ捨てられたコルセット】

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