Description of a work (作品の解説)
2007/05/05掲載
Work figure (作品図)
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フェルナンド座のララ嬢


(Miss Lala au cirque Fernando) 1879年頃
117×77.5cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

印象派の巨匠エドガー・ドガ作『フェルナンド座のララ嬢』。第4回印象派展の出品作である本作に描かれるのは、当時のサーカス団のひとつ≪フェルナンド座(シルク・フェルナンド)≫の花形曲芸師であったララ嬢(ミス・ララ)で、上方へと吊り上げられるララ嬢を捉える特異な視点や、大胆な色彩は本作の最も大きな見所のひとつである。出品当時、カタログにはミス・ローラと誤植されていた本作で描かれる曲芸師ララは、白人と黒人の混血児であり、「大砲女」とも呼ばれていたことが知られ、本作では自らの歯のみで体重を支え天上近くまで吊り上げられるという肉体的に過酷な演技の場面が描かれており、日本美術に造詣の深かったフランスの著名な小説家・歴史家エドモン・ゴンクール著「ゼンガノ兄弟」にも構想を得ていたとも指摘されている。本作の対象(ララ嬢)を見上げる断片的な視点は、当時サーカスの閲覧でしばしば使用されていた双眼鏡での視点を思わせ、この非常に独創的で大胆な視点からララ嬢を捉えるドガ独特の構図展開は、観る者に強い印象を与える。また橙色と緑色のサーカス小屋の壁に映えるララ嬢を照らす、本作の下方からの人工的な光の色彩描写は、ドガが探求していた人為的で都会的な光の表現における良例のひとつであると共に、本場面の緊張的な興奮性を高めている点でも、非常に有効的な効果を発揮している。なお本作を制作するためにドガが黒チョークや水彩などで描いた4点の習作(下絵・デッサン)が現存している。


【全体図】
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自らの歯のみで全体重を支えるララ嬢。第4回印象派展の出品作である本作に描かれるのは、当時のサーカス団のひとつ≪フェルナンド座(シルク・フェルナンド)≫の花形曲芸師であったララ嬢で、上方へと吊り上げられるララ嬢を捉える特異な視点や、大胆な色彩は本作の最も大きな見所のひとつである。



【自らの歯のみで全体重を支えるララ嬢】
下方からララ嬢の身体を照らす人工的な光の色彩描写。本作のララ嬢を照らす下方からの人工的な光の色彩描写は、ドガが探求していた人為的で都会的な光の表現における良例のひとつであると共に、本場面の緊張的な興奮性を高めている点でも、非常に有効的な効果を発揮している。



【人工的な光の色彩描写】
橙色と緑色のサーカス小屋の壁。本作の対象(ララ嬢)を見上げる断片的な視点は、当時サーカスの閲覧でしばしば使用されていた双眼鏡での視点を思わせ、この非常に独創的で大胆な視点からララ嬢を捉えるドガ独特の構図展開は、観る者に強い印象を与える。



【橙色と緑色のサーカス小屋の壁】

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