2010/09/20掲載
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風景(Paysage) 1892年頃51×50.5cm | パステル・厚紙 | ヒューストン美術館
前景に描かれた縦長の岩。本作は画家の作品の中でも、比較的珍しい≪風景≫を主題とした作品(※ドガは短い期間ながらその生涯の中で1869年頃、1890年代前半、1890年代後半と3つの時期で風景を主題とした作品を制作している)で、1892年にデュラン=リュエルの画廊で展示された風景画の中の1点としても知られている。
【前景に描かれた縦長の岩】 山形に盛られた土。短い草の茂った小高い丘を感じさせる前景として画面下部へは、縦長の岩を2本(その内1本は構図的に見切れている)と山形に盛られた土がエレメントとして造形対比的に配されている。
【山形に盛られた土】
空と溶け合う遠景の山々。本作は画家とも交友のあった批評家アルセーヌ・アレクサンドルも指摘するよう、画面前景の縦長の岩を男性の象徴、盛土を女性の象徴とした上で、自然そのものが人間、ひいては世界の生殖につながるという解釈をおこなうことができる。
【空と溶け合う遠景の山々】 |