2007/05/23掲載
■
アイロンをかける女たち(Les repasseuses) 1884-86年頃76×81.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ) 関連:メトロポリタン美術館所蔵 『アイロンをかける女・逆光』
大きなあくびをする女。本作は画家が1869年頃から手がけ始めた、当時、女たちにとって辛い労働であった≪アイロンがけ≫をする女たちを描いた数多い作品の中の1点で、この画題を描いた幾多の作品の中でも、最も秀逸の出来栄えを示している。
【大きなあくびをする女】
あくびする女の傍らに置かれるワイン瓶。画面右の淡い桃色の衣服を着た女は、力を込めて両手でアイロンを押し付けるようにかけており、その一方では、隣の白い衣服の女が大きなあくびをしながら、重労働を紛らわせるワイン瓶を右手に握っている。
【あくびする女の傍らに置かれるワイン瓶】
力を込めて両手で押し付けられるアイロン。非常に厳しい状況下で働く女たちの日常がありありと描写される本作は、ドガの物事を残酷なまでに的確に捉える辛辣な観察眼が最も良く示された作品としても特筆に値する。
【力を込め両手で押し付けられるアイロン】 |