Description of a work (作品の解説)
2009/04/29掲載
Work figure (作品図)
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ハムのある静物

 (Jambon) 1889年
50.2×57.8cm | 油彩・画布 | フィリップス・コレクション

後期印象派の大画家でありフランス象徴主義の先駆者ポール・ゴーギャンの最も著名な静物画作品のひとつ『ハムのある静物』。ゴッホとの南仏アルルにおける共同生活の終焉を迎え、再びブルターニュへ赴いた≪第3次ブルターニュ滞在時期≫に制作された本作は、金属の平皿に置かれたハムや玉葱(又は大蒜)、ワイングラスを描いた静物画で、この頃、ゴーギャンは『扇面のある静物』など約20点の静物画を制作しているが、本作はその中でも特に注目すべき作品として重要視されている。ゴーギャンの静物画は先人ポール・セザンヌの造形性や色彩表現の影響に基づいているが、本作ではそのような観点が消失し独特の虚構的雰囲気が支配している。画面中央に描かれる銀色の皿に配される巨大なハムの塊は、皿の金属と対比するかのように生物性を感じさせる強烈な色彩で描写されており、その存在感は単純化された色面による造形によってより強調されている。さらに静物が置かれるテーブルを支える細い柱が、(まるで宙に浮いているかのような)不安定感を本作に与えている。この視覚的不安定性にゴーギャン自身の(不安的)心情を指摘する研究者も少なくない。また他の静物画と比較しあまりにも単純な背景の処理と、そこへ加えられた象徴的な(鎖を思わせる)3本の縦文様に、ゴーギャンの類稀な画才を見出すことができる。


【全体図】
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生物的色彩によって描写されるハム。画面中央に描かれる銀色の皿に配される巨大なハムの塊は、皿の金属と対比するかのように生物性を感じさせる強烈な色彩で描写されており、その存在感は単純化された色面による造形によってより強調されている。



【生物的色彩によって描写されるハム】
ハムに添えられる玉葱(又は大蒜)とワイングラス。≪第3次ブルターニュ滞在時期≫に制作された本作は、金属の平皿に置かれたハムや玉葱(又は大蒜)、ワイングラスを描いた静物画で、この頃、ゴーギャンは『扇面のある静物』など約20点の静物画を制作しているが、本作はその中でも特に注目すべき作品として重要視されている。



【玉葱(又は大蒜)とワイングラス】
単純な背景の処理と、そこへ加えられた象徴的な3本の縦文様。静物が置かれるテーブルを支える細い柱が、(まるで宙に浮いているかのような)不安定感を本作に与えており、この視覚的不安定性にゴーギャン自身の(不安的)心情を指摘する研究者も少なくない。



【単純な背景の処理と、3本の縦文様】

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