Description of a work (作品の解説)
2009/05/31掲載
Work figure (作品図)
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裸婦習作(縫い物をするシュザンヌ)


(Etude de Nu (Suzanne cousant)) 1880年
115×80cm | 油彩・画布 | ニュー・カールスベルク美術館

後期印象派の巨匠ポール・ゴーギャン最初期の代表作『裸婦習作(縫い物をするシュザンヌ)』。1881年に開催された第6回印象派展への出品作である本作は、若いモデルを裸体姿を描いた≪裸婦≫作品で、ゴーギャンの画業の中で最初に人々から注目された作品としても重要視されている。第6回印象派展出品時、高名な批評家エミール・ゾラの優秀な弟子で、デカダン派の作家ユイスマンス(※この当時はまだ自然主義者であった)は本作について次のような称賛の言葉を残している。「ここに描かれる人物は現代の娘、それも出品用にポーズをしていない娘である。淫らでもなければ気取ってもいない。ただ裁縫に没頭している姿なのだ。しかも娘の肌は一点の染みも無いような滑らかな肌でもなく薔薇色に輝くわけでもない。腹は垂れ、深い皺がよる真実の姿だ。石膏像の模写で学んだ手法でアカデミックにモデルを描く画家に嫌悪感を覚える私にとって、この画家を喝采できることは真に幸いである」。このユイスマンスの言葉からも理解できるよう、本作で最も重要視すべき点は、まだ趣味として絵画に取り組んでいたゴーギャンの力強く客観性に溢れた写実主義的表現にある。画面の中央に描かれる裸婦は、古典絵画に登場する女神ヴィーナスのような理想的な裸婦ではなく、非常に現実性を感じさせる姿で丹念に描かれている。さらに本作にはゴーギャンの裸婦に対する関心はあまり感じられず、背景のマンドリンや裸婦の背後の緑色の衣服などと同様に作品を構成する一要素として取り組んでいる客観的な姿勢には、ゴーギャンの構成に対する重要視と理解の深さを見出すことができる。


【全体図】
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縫い物に没頭する裸婦の姿。1881年に開催された第6回印象派展への出品作である本作は、若いモデルを裸体姿を描いた≪裸婦≫作品で、ゴーギャンの画業の中で最初に人々から注目された作品としても重要視されている。



【縫い物に没頭する裸婦の姿】
細やかな筆触で描かれる裸婦の手元。第6回印象派展出品時、高名な批評家エミール・ゾラの優秀な弟子で、デカダン派の作家ユイスマンス(※この当時はまだ自然主義者であった)は本作について称賛の言葉を残している。



【細やかな筆触で描かれる裸婦の手元】
現実味を感じさせる垂れ下がった肉体。本作にはゴーギャンの裸婦に対する関心はあまり感じられず、背景のマンドリンや裸婦の背後の緑色の衣服などと同様に作品を構成する一要素として取り組んでいる。



【現実的な垂れ下がった肉体】

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