Description of a work (作品の解説)
2009/02/19掲載
Work figure (作品図)
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胸をはだけたブロンドの娘


(La blondeaux seins nus) 1878年
62.5×51cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の先駆的エドゥアール・マネの代表的な作例のひとつ『胸をはだけたブロンドの娘』。画家随一の問題作として名高い『オランピア』以降に制作された7点の裸婦作品の中の1点である本作は、胸部がはだけた女性の半身像を画題に手がけられた作品で、モデルに関しては現在も不明とされており今後の調査や研究が期待されている。画面中央に描かれる芥子の花飾りの付いた麦藁帽子を被る娘は、やや虚ろにすら感じさせる空虚な表情を浮かべながらぼんやりと画面左側を向いている。その顔には緊張の色はもとより、他のマネの作品に見られた女性の自意識の本質と生命感が全く感じられない。これは頭痛や脚の痺れなど体調に変化の兆しが見え始めたマネが、己の行く末を想う複雑な心境が投影されているとも推測することができる。一方、画面下部の半分以上を占める娘の豊潤な姿態や、明確に輪郭線を引いた肌蹴た胸部の柔らかな曲線には女性としての見事な官能性や画家としての絵画に対する挑戦性を見出すことができる。さらに本作で最も注目すべき点は表現そのものにもある。本作は油彩を用いながらも、別の素材として松精油(テレビン油)を混合させていることが知られており、その薄塗り的効果はあたかも水彩のような表情を生み出している。この他素材との混合的描写手法は晩年期の画家の作品の大きな特徴であり、その中でも本作は秀逸な出来栄えを示している。他にも若い娘の黄色味を帯びた肌色や麦藁帽子に装飾される赤々とした芥子の花と、背景に使用されるややくすみを帯びた緑色との色彩の対比などに画家の創意と才能を感じることができる。


【全体図】
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やや虚ろな表情を浮かべる若い娘。本作に描かれる娘の女性の自我と生命感を全く感じさせない表情には、頭痛や脚の痺れなど体調に変化の兆しが見え始めたマネが、己の行く末を想う複雑な心境が投影されているとも推測することができる。



【やや虚ろな表情を浮かべる若い娘】
画面に映える赤々とした芥子の花。若い娘の黄色味を帯びた肌色や麦藁帽子に装飾される赤々とした芥子の花と、背景に使用されるややくすみを帯びた緑色との色彩の対比などに画家の創意を見出すことができる。



【画面に映える赤々とした芥子の花】
明確な輪郭線が引かれる官能的な乳房。この裸体の半身を始め、画家としての絵画に対する挑戦性も感じられる本作は油彩を用いながらも、別の素材として松精油(テレビン油)を混合させていることが知られており、その薄塗り的効果はあたかも水彩のような表情を生み出している。



【輪郭線が引かれる官能的な乳房】

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