2004/09/01掲載
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オランピア(Olympia) 1863年130.5×190cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ) 関連:ティツィアーノ作 『ウルビーノのヴィーナス』 関連:カバネル作 『ヴィーナスの誕生』
観者を視線を交わす艶めかしいオランピアの表情。本作はルネサンス期ヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノの傑作『ウルビーノのヴィーナス』に直接的な構図的着想を得て、選定基準が緩められた1865年のサロンに、当時の娼婦に多く用いられた通称である『オランピア』の名称で出品された作品である。
【艶めかしいオランピアの表情】
オランピアの肢体が纏う最小限の装飾。近年の研究によって、画家の友人であった詩人ボードレールの『現代生活の画家』中に記される芸術家の娼婦の比較から、オランピアを画家自らに重ねて描いたとも推測されており、オランピアが身に着ける腕輪が、マネの毛髪が入れられた画家の母親の腕輪であることとも関連付けられる。
【オランピアの肢体が纏う最小限の装飾】
画面左の尾を立てた黒猫。片足の脱げたサンダルは処女の喪失を表しているとされ、オランピアの足下の黒猫は自由の象徴であり、立てられた尾は高ぶる性欲を意味している(典拠となったティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』では従順を象徴する犬が描かれている)。
【画面左の尾を立てた黒猫】
娼婦の信奉者から届けられる花束をもつ召使の黒人女性。『草上の昼食』同様、ヴィクトリーヌ・ムーランを娼婦のモデルに、おそらく植民地からの入植者である黒人女性ロールを召使のモデルに描かれれている本作の現実過ぎた露骨な裸婦表現は、人々に強くエロスと背徳感を抱かせ、混乱させた。
【花束をもつ召使の黒人女性】 |